北条高時のソースを表示

{{基礎情報 武士
| 氏名 = 北条 高時
| 画像 = Hōjō Takatoki.jpg
| 画像サイズ = 200px
| 画像説明 = 北条高時像／[[宝戒寺]]所蔵
| 時代 = [[鎌倉時代]]末期
| 生誕 = [[嘉元]]元年[[12月2日 (旧暦)|12月2日]]（[[1304年]][[1月9日]]）
| 死没 = [[元弘]]3年/[[正慶]]2年[[5月22日 (旧暦)|5月22日]]（[[1333年]][[7月4日]]）
| 改名 = 成寿丸（[[幼名]]）→高時→崇鑑（法名）
| 神号 = 徳崇大権現
| 戒名 = 日輪寺殿崇鑑
| 墓所 = [[鎌倉市]]小町 東勝寺跡の[[やぐら]]
| 官位 = [[正五位]]下、[[相模国|相模]][[国司|守]]、[[修理権大夫]]、[[従四位]]下
| 幕府 = [[鎌倉幕府]]第14代[[執権]]
| 主君 = [[守邦親王]]
| 氏族 = [[北条氏]]（[[得宗]]）
| 父母 = 父：[[北条貞時]]、母：[[覚海円成]]（[[安達泰宗]]の娘）
| 兄弟 = [[覚久]]、[[北条菊寿丸|菊寿丸]]、'''高時'''、[[北条泰家|泰家]]、[[崇暁]]、[[北条金寿丸|金寿丸]]、[[北条千代寿丸|千代寿丸]]、[[北条師時]]室、[[北条熙時]]室、[[土岐光定]]室、[[北条時基]]室
| 妻   = [[正室]]：'''[[安達時顕]]の娘'''<br />[[側室]]：常葉前（[[御内人]]・[[五大院宗繁]]の妹{{Efn2|name="keizusanyo"|『系図纂要』の北条氏系図では娘とする。}}）<br />側室：二位局
| 子   = '''[[北条邦時|邦時]]'''、[[北条時行|時行]]、女子2人<ref name="josi">{{Cite book|和書|author=鈴木由美|authorlink=鈴木由美|title=中先代の乱|publisher=中央公論新社|series=中公新書|year=2021|page=38}}</ref><br />養子：''[[北条治時|治時]]''
| 特記事項 =
| 花押 =TAKATOKI777.PNG
}}
'''北条 高時'''（ほうじょう たかとき）は、[[鎌倉時代]]末期の[[北条氏]][[得宗家]][[当主]]。[[鎌倉幕府]]第14代[[執権]]（在職：[[1316年]] - [[1326年]]）。第9代執権・[[北条貞時]]の三男。

== 生涯 ==
=== 誕生と元服 ===
[[嘉元]]元年[[12月2日 (旧暦)|12月2日]]（[[1304年]][[1月9日]]）、[[北条貞時]]の三男として生まれる。三男であったが、長兄と次兄は[[夭折]]しているので、事実上の[[嫡男]]であった。

[[延慶 (日本)|延慶]]2年（[[1309年]]）に7歳で[[元服]]する(『[[鎌倉年代記]]』)。この詳しい様子を伝える史料は今のところ発見されていないが、それまでの得宗家当主[[北条泰時]]・[[北条経時|経時]]・[[北条時頼|時頼]]・[[北条時宗|時宗]]の元服の様子は『[[吾妻鏡]]』で、父・貞時の元服の様子は『[[建治三年記]]』で確認することができる{{Sfn|山野|2012|p=164}}。同様に、幕府の御所において、将軍（当時は[[守邦親王]]）を[[烏帽子親]]として行われたものと考えられている。

元服に際しては烏帽子親の[[偏諱]]（[[実名]]の1字）を受けることが多いが、「高時」の名乗りを見て分かる通り、将軍の偏諱（守邦親王の「守」または「邦」の1字）は受けなかったようである。同時代（の上の立場）の者で「高」の字を用いる人物はおらず、研究では祖先とされる[[平高望|平'''高'''望（高望王）]]に肖ったものとする見解が示されている。元々は[[細川重男]]がこの説{{Efn2|加えて父・貞時の「貞」が[[平貞盛]]に由来するとする説。}}を唱えたものの根拠なしとして論文等では示してはいなかったが、[[角田朋彦]]が根拠付きでこれを支持している。これは、細川が著書で、[[北条時宗]]（高時の祖父）の代に、得宗家による政治支配体制を確立させるにあたりその正統性を主張するために、祖にあたる[[北条義時]]を[[武内宿禰]]になぞらえる伝説が生まれて流布していたこと<ref>{{Cite journal|和書|author1=細川重男|author2=本郷和人|author2-link=本郷和人|title=北条得宗家成立試論|journal=東京大学史料編纂所研究紀要|issue=11号|year=2001}}</ref><ref>{{Cite journal|和書|author=細川重男|title=得宗専制政治の論理|journal=年報三田中世史研究|issue=9号|year=2002}}</ref> や、時宗とは不可分の関係にあった[[平頼綱]]（貞時の乳母の夫にあたる）が自らの家格を向上させるため、次男・[[飯沼資宗|資宗]]（助宗とも書く）の名字（名前の1字）を[[平資盛]]に求めた可能性があること<ref>{{Cite journal|和書|author=細川重男|title=飯沼大夫判官と両統迭立|journal=白山史学|issue=38号|year=2002}}</ref> を述べており、こうした考え方が可能ならば、同様に時宗が自分の嫡男の名字を平貞盛に、貞時も嫡男の名字を高望王に、それぞれ求めたと考えることができるのではないかという理由によるものである。加えて角田は、貞時・高時の代には将軍→御家人という偏諱の授与の図式は存在せず{{Efn2|角田の論文が出された後に、[[北条久時|赤橋久時]]が[[久明親王]]、久時の子・[[北条守時|守時]]と高時の嫡男・[[北条邦時|邦時]]が[[守邦親王]]の偏諱を賜っていることが指摘されている<ref name="yamano p.182">{{Harvnb|山野|2012|p=182|loc=脚注(27)}}</ref>が、これは得宗家や[[赤橋流北条氏]]が将軍を烏帽子親とする家系であったためであり、例外とみなす。}}、得宗家当主である貞時の「貞」の字や高時の「高」の字が他の御家人に与えられる図式がこの時代に成立していたことが御家人の名前から窺え<ref>{{Cite journal|和書|author=紺戸淳 |date=1979-03 |title=武家社会における加冠と一字付与の政治性について : 鎌倉幕府御家人の場合 |journal=中央史学 |ISSN=03889440 |publisher=中央大学 |volume=2 |pages=10-26 |CRID=1570009752940858752}}にはその事例が幾つか紹介されている。後述の[[#偏諱を受けた人物|偏諱を受けた人物]]の節も参照のこと。</ref>、これは得宗権力が確立していたことの徴証の一つとして読み取れるとする見解を示している<ref>{{Cite journal|和書|author=角田朋彦|title=偏諱の話|journal=段かづら|issue=3・4号|year=2004|pages=20-21}}</ref>。

=== 家督相続と執権への就任 ===
[[応長]]元年（[[1311年]]）、9歳の時に父貞時が死去。貞時は死去の際、高時の舅・[[安達時顕]]と[[内管領]]・[[長崎円喜]]を幼い高時の後見として指名した。その後高時まで3代の中継ぎ執権{{Efn2|11代[[北条宗宣|宗宣]]、12代[[北条煕時|煕時]]、13代[[北条基時|基時]]の3名を指す。父である第9代・貞時は[[正安]]3年（[[1301年]]）に10代[[北条師時|師時]]に執権職を譲っていたが、師時は貞時の1ヶ月ほど前に亡くなっており、貞時逝去時は宗宣が執権の座にあった。}}を経て、[[正和]]5年（[[1316年]]）、父と同じ14歳で14代執権となる。その頃には円喜の嫡男・[[長崎高資]]が権勢を強めていた。

高時は、既に亡き[[日蓮]]の弟子の[[日朗]]に殿中にて諸宗との問答対決の命を下し、[[日朗]]は[[高齢]]のため代わりに門下の[[日印]]（[[1264年]] - [[1328年]]）を討論に向かわせ、[[文保]]2年（[[1318年]]）12月20日から翌[[元応]]元年（[[1319年]]）9月15日にかけ3回にわたり、いわゆる'''鎌倉殿中問答'''（[[弟子]]の[[日静]]が記録に残す）を行わせた。時の[[征夷大将軍]]は[[宮将軍]]の[[守邦親王]]である。結果、[[日印]]が諸宗をことごとく論破し、[[題目宗]]の布教を高時は許した。

在任中には、諸国での[[悪党]]の活動や、奥州で[[蝦夷]]の反乱、[[安藤氏の乱]]などが起き、[[正中 (元号)|正中]]元年（[[1324年]]）、京都で[[後醍醐天皇]]が幕府転覆を計画した[[正中の変]]では、倒幕計画は[[六波羅探題]]によって未然に防がれ、後醍醐天皇の側近[[日野資朝]]を[[佐渡島]]に配流し、計画に加担した者も処罰された。

=== 執権退任後から最期まで ===
[[正中 (日本)|正中]]3年（[[1326年]]）には、病のため24歳で執権職を辞して出家（法名・崇鑑）する。後継を巡り、高時の実子邦時を推す長崎氏と、弟の泰家を推す安達氏が対立する騒動（[[嘉暦の騒動]]）が起こる。3月には[[北条貞顕|金沢貞顕]]が執権に就任するがすぐに辞任し、4月に[[北条守時|赤橋守時]]が就任することで収拾する。この騒動の背景には、太守高時の庶子である邦時を推す長崎氏に対し、高時正室の実家が安達氏であったため、正嫡子が生まれるまでとして高時実弟の泰家を推す安達氏との確執があったとされる。

[[元弘]]元年（[[1331年]]）には、高時が円喜らを誅殺しようとしたとして[[長崎高頼]]などの高時側近らが処罰される事件が起こる。8月に後醍醐天皇が再び倒幕を企てて笠置山へ篭り、[[河内国|河内]]では[[楠木正成]]が挙兵する[[元弘の乱]]が起こると、軍を派遣して鎮圧させ、翌[[1332年]]3月にはまた後醍醐天皇を[[隠岐島]]へ配流し、側近の[[日野俊基]]らを処刑する。皇位には新たに[[持明院統]]の[[光厳天皇]]を立てる。

元弘3年/[[正慶]]2年（[[1333年]]）閏2月に後醍醐天皇が隠岐を脱出して伯耆国の[[船上山]]で挙兵すると、幕府は西国の倒幕勢力を鎮圧するため、北条一族の[[北条高家|名越高家]]と御家人の筆頭である下野国の御家人[[足利尊氏|足利高氏（尊氏）]]を[[京都]]へ派遣する。4月に高家は[[赤松則村]]（円心）の軍に討たれ、高氏は後醍醐天皇方に寝返って、5月7日に[[六波羅探題]]を攻略。同月8日、関東では上野国の御家人・[[新田義貞]]が挙兵し、幕府軍を連破して鎌倉へ進撃する。5月18日に新田軍が鎌倉へ侵攻すると、しばらくは持ちこたえるも、4日後の5月22日に守備を突破されて鎌倉市内に乱入されたため、高時は北条家菩提寺の葛西ケ谷[[東勝寺合戦|東勝寺]]へ退き、北条一族や家臣らとともに自刃して果てた。享年31（満29歳没）。
[[ファイル:Hojo Takatoki Harakiri-Yagura.jpg|thumb|260px|東勝寺跡の奧にある北条高時腹切り[[やぐら]]]]

== 徳崇大権現 ==
鎌倉幕府滅亡後、後醍醐天皇から「徳崇大権現」という[[神号]]を下賜され、神として[[宝戒寺]]に祀られている。鎌倉幕府が滅亡した[[5月22日]]に、高時の慰霊のために徳崇大権現会・大般若経転読会が行われる。境内の徳崇大権現堂に祀られている北条高時像が、輿に乗り本堂に迎えられ（「徳崇大権現会」）、「大般若経転読会」が行われる。大般若経の正式名称は[[大般若波羅蜜多経]]といい[[三蔵法師]]がインドから持ち帰った600巻に及ぶものである。転読が終わると、高時の御神像は権現堂に戻る<ref>{{Cite web|和書|url = http://hokaiji.com/annual_event/event/index.html |title = 主な行事：徳崇大権現会・大般若経転読会 |publisher = 金龍山釈満院円頓宝戒寺 |accessdate = 2016-03-23 }}</ref>。

== 人物 ==
[[ファイル:YoshitoshiTakatokiTengu.jpg|サムネイル|北条高時、烏天狗に騙されるの図（[[月岡芳年]]『[[芳年武者无類]]』より）]]
古典『[[太平記]]』や『[[増鏡]]』『[[保暦間記]]』『[[鎌倉九代記]]』など後世に成立した記録では、趣味に耽り、幕政を混乱させた暗君として書かれる傾向にあり、[[江戸時代]]から[[明治]]にかけての史学でも、その傾向があった。[[大正]]時代の日本史の教科書でも、『太平記』の記述を参考としており、[[闘犬]]や[[田楽]]に耽溺し、政務を顧みない暗君として記載している{{Sfn|永井|2009|p=4}}。

『太平記』には、高時が[[彗星|妖霊星]]を見て喜び踊る一方で、[[藤原仲範]]が亡国の凶兆であるため、鎌倉幕府が滅亡することを予測したエピソードが挿入されている{{Sfn|永井|2009|p=4}}。更に、一族の礎石を築いた初代執権[[北条時政]]が、[[江の島|江島]]に参籠したところ、[[江島神社|弁財天]]が時政に対して7代の間北条家が安泰である加護を施した話を記載し、得宗で7代目に当たる高時の父貞時の代にその加護が切れたと記載する。『太平記』は、高時は暗愚であった上、江島弁財天の加護まで切れてしまったのだから、鎌倉幕府の滅亡は至極当然のことであった、と断じている{{Sfn|永井|2009|pp=4-5}}。

『保暦間記』は、高時の人物像について「頗る亡気の体にて、将軍家の執権も叶い難かりけり」、「正体無き」と記している。一族である[[北条貞顕|金沢貞顕]]が残した『金沢文庫古文書』にも、彼が病弱だったことが強調されており、彼の病状に一喜一憂する周囲の様子をうかがわせる。また貞顕の書状には「田楽の外、他事無く候」とも書かれており、田楽を愛好していたのは確かであることがうかがえる。彼の虚弱体質の原因として、祖父・時宗さらには高祖父・時氏まで遡る安達氏を正室とした[[近親交配|血族結婚]]にあると思われる。実際、彼の正室も安達氏である。また、『[[二条河原の落書]]』には「犬・田楽ハ関東ノホロ（滅）フル物ト云ナカラ」と書かれており、鎌倉幕府滅亡から間もない時から高時が闘犬や田楽を愛好したことが、幕府を滅ぼした要因の一つだとされてきたことが窺える{{Sfn|日本史史料研究会|細川|2015|p=175}}。また、田楽については、元徳2年（1330年）に東大寺手掻会にて、参加する田楽役者の選任に幕府が介入しており、南都の反感を買ったことも田楽で高時が悪く評される要因の1つとなっている。

父の貞時の場合、その父である[[北条時宗|時宗]]が没した時には14歳であり、政務に勤しむ父親の姿を知っており、23歳の時に[[平禅門の乱]]で実権を掌握してからは、政務に勤しんで[[得宗専制]]を確立したが、高時の場合は彼が3歳の時に起きた[[嘉元の乱]]以来貞時が政務に対する意欲を失って酒浸りの生活になっていたうえ、9歳の時に世を去ったため、高時は父から政事を学ぶことが出来なかったとも言える{{Sfn|日本史史料研究会|細川|2015|p=176}}。また、高時が家督を継いだ頃の幕府は[[長崎円喜]]らの[[御内人]]・外戚の[[安達時顕]]・北条氏庶家などの[[寄合衆]]らが主導する[[寄合]]によって「形の如く子細なく（先例に従い形式通りに）」運営されるようになっており、最高権力者であったはずの得宗も[[征夷大将軍|将軍]]同様名目的な地位となっていたため、高時は主導的立場を取る余地がなく、また求められてもいなかった{{Sfn|細川|2011|pp=132-133 , 142-145}}。その一方で、高時は[[夢窓疎石]]らの禅僧とも親交を持って、[[仏画]]などにも親しみ、禅の師である[[南山士雲]]の[[頂相]]を自ら描いた作例も知られている<ref>{{Citation|和書|editor=財団法人 [[三溪園]]|title=横浜開港一五〇周年記念特別展「[[原富太郎|原三溪]]と美術ー蒐集家三溪の旧蔵品」|year=2009|page=21}}</ref>。

また、『増鏡』も、高時が病弱であり、鎌倉の支配者として振る舞っていたものの、虚ろでいることが多かった、体調が優れている時は、田楽や闘犬に興じることもあったと記している{{Sfn|永井|2009|pp=11-12}}。また、田楽や闘犬を愛好したのは、執権を退いた1326年以降であったと記している{{Sfn|永井|2009|p=12}}。『太平記』の記述は、『増鏡』などと比べると、悪意のある誇張が目立つと指摘される{{Sfn|永井|2009|p=12}}。こうした『太平記』における高時像は、討幕を果たした[[後醍醐天皇]]並びにその一派が、鎌倉幕府の失政を弾劾し、喧伝する中で作り上げたものという側面もあるとされる{{Sfn|永井|2009|p=10}}。

1884年（[[明治]]17年）11月東京[[中村座|猿若座]]で初演された[[河竹黙阿弥|黙阿弥]]作の[[活歴物]]の[[新歌舞伎]]『[[北条九代名家功]]』{{smaller|（ほうじょうくだいめいかのいさおし）}}、通称『高時』で、[[市川團十郎 (9代目)|九代目市川團十郎]]は高時の高慢かつ孤独で愚鈍な深層心理を内側から極めて写実的に表現して大当たりとなったが、これが今日の創作における暗君高時像を決定的なものにしたとされる。また近年では、NHK[[大河ドラマ]]『[[太平記 (NHK大河ドラマ)|太平記]]』（高時役は[[片岡鶴太郎]]）や[[湯口聖子]]作の漫画『[[夢語りシリーズ|風の墓標]]』（[[秋田書店]]）の影響からか、病弱、かつ虚無感を漂わせた人物像が定着するようになった{{Sfn|永井|2009|pp=6-8}}。

== 系譜 ==
*父：[[北条貞時]]
*母：[[覚海円成]]…[[安達泰宗]]の娘
*妻：[[安達時顕]]の娘
*妻：常葉前…[[五大院宗繁]]の妹（『系図纂要』の北条氏系図では宗繁の娘とする。）
**男子：[[北条邦時]]
*妻：二位局
*生母不明
**男子：[[北条時行]]{{Efn2|『[[太平記]]』では母は新殿（二位殿）とされる。}}
**女子<ref name="josi" />
**女子<ref name="josi" />

== 経歴 ==
※ 日付＝旧暦
*[[1304年]]（[[嘉元]]元年）12月2日、誕生。（[[数え年]]1歳）
*[[1309年]]（[[延慶 (日本)|延慶]]2年）1月21日、[[元服]]。（6歳）
*[[1311年]]（[[応長]]元年）1月17日、幕府小侍所奉行に就任。6月23日、[[従五位|従五位下]]に叙し、[[左馬頭|左馬権頭]]に[[任官]]。（9歳）
*[[1316年]]（[[正和]]5年）1月5日、従五位上に昇叙。左馬権頭如元。1月13日、但馬権守を兼任。7月10日、執権と就る。（14歳）
*[[1317年]]（[[文保]]元年）3月10日、[[相模国|相模]][[国司|守]]に遷任し、左馬権頭・但馬権守兼任。3月27日、但馬権守辞任。4月19日、正五位下に昇叙。相模守・左馬権頭如元。同4月、従四位下に昇叙。（15歳）
*[[1319年]]（文保3年）1月、[[修理大夫|修理権大夫]]に転任。左馬権頭兼任。2月、左馬権頭辞任。（17歳）
*[[1326年]]（[[正中 (元号)|正中]]3年）3月13日、[[出家]]。'''崇鑑'''を号す。（24歳）
*[[1333年]]（[[元弘]]3年/[[正慶]]2年）5月22日、自刃。（享年30、満29歳没）
*[[1366年]]（[[貞治]]5年）5月20日、贈[[正四位|正四位下]]（[[師守記]]。同日条）

※参考資料：北条時政以来後見次第（東京大学史料編纂所所蔵）、鎌倉年代記（増補続史料大成）、関東開闢皇代并年代記事（東京大学所蔵）

== 偏諱を受けた人物 ==
高時の代には｢高｣の字を一般の御家人に下賜する図式が成立していたことが論文によって指摘されており（[[#誕生と元服|前述]]参照）、これに該当する人物は以下の者とみられる。
	
=== 北条氏一門 ===
*[[北条高宣|大仏'''高'''宣]]（第11代執権・[[北条宗宣]]の孫）{{Sfn|山野|2012|p=164}}<ref name="yamano p.182" /><ref name="kondo 1979">{{Cite journal|和書|author=紺戸淳|title=武家社会における加冠と一字付与の政治性について|journal=中央史学|issue=2号|year=1979}}15頁の系図ほか。</ref>
*[[北条高直|大仏'''高'''直]]（高宣の弟）<ref name="kondo 1979" />
*[[北条高政|規矩'''高'''政]]
*[[北条高家|名越'''高'''家]]{{Sfn|細川|2000|p=32}}
ほか

=== その他 ===
{{col-begin}}
{{col-2}}
*[[足利高義|足利'''高'''義]]{{Sfn|田中|2013|loc=「中世前期下野足利氏論」|p=25}}<ref name="tanaka p.69">{{Harvnb|田中|2013|loc=臼井信義「尊氏の父祖 ―頼氏・家時年代考―」|p=69}}</ref>
*[[足利尊氏|足利'''高'''氏]]<ref name="kondo 1979" /><ref name="tanaka p.69" />{{Efn2|ドラマ（創作物）の脚色によるものではあるが、[[大河ドラマ|NHK大河ドラマ]]｢[[太平記 (NHK大河ドラマ)|太平記]]｣（[[1991年]]）の第1話では又太郎（尊氏）が北条高時を[[烏帽子親]]として元服し「高」の字を与えられた様子が描かれ、ナレーションでもその旨が解説されていた。}}（高義の弟、※のち足利尊氏（後醍醐天皇（尊治）の偏諱を受け改名））
*[[足利直義|足利'''高'''国]]<ref name="tanaka p.69" /><ref>{{Citation|和書|editor1=櫻井彦|editor1-link=櫻井彦|editor2=樋口州男|editor2-link=樋口州男|editor3=錦昭江|editor3-link=錦昭江|title=足利尊氏のすべて|publisher=新人物往来社|year=2008|page=224}}</ref>（高義・高氏の弟、※のち足利直義）
*[[足利高経|足利'''高'''経]]（斯波高経）
*[[安達高景|安達'''高'''景]]（高時と義兄弟）
*[[宇都宮公綱|宇都宮'''高'''綱]]<ref>{{Cite book|和書|author=江田郁夫|authorlink=江田郁夫|chapter=総論 下野宇都宮氏|series=シリーズ・中世関東武士の研究 第四巻|title=下野宇都宮氏|publisher=戎光祥出版|year=2011|page=9}}</ref>（※のち宇都宮公綱）
*[[小田治久|小田'''高'''知]]<ref name="kondo 1979" />（※のち小田治久）
*[[小山秀朝|小山'''高'''朝]]<ref name="kondo 1979" />{{Sfn|峰岸|入間田|白根|2007|loc=[[市村高男]]「鎌倉期成立の「結城系図」二本に関する基礎的考察 -系図研究の視点と方法の探求-」|p=96}}（※のち小山秀朝）
*[[小笠原高長|小笠原'''高'''長]]
*[[葛西高清|葛西'''高'''清]]
*[[河越高重|河越'''高'''重]]<ref name="kondo 1979" />
*[[工藤高景|工藤'''高'''景]]（[[奥州工藤氏#得宗被官工藤氏|工藤氏]]）{{Sfn|峰岸|入間田|白根|2007|loc=今野慶信「藤原南家武智麿四男乙麻呂流鎌倉御家人の系図」}}
*[[五大院宗繁|五大院'''高'''繁]]（宗繁）
*[[六角時信|佐々木'''時'''信]]（六角時信）<ref name="kondo 1979" />
*[[佐々木道誉|佐々木'''高'''氏]]（佐々木(京極)道誉/導誉）<ref name="kondo 1979" /><ref>{{Cite book|和書|author=森茂暁|authorlink=森茂暁|title=佐々木導誉|series=人物叢書|publisher=吉川弘文館|year=1994|page=17}}</ref>
*[[佐々木清高|佐々木清'''高''']]<ref name="kondo 1979" />
*[[塩冶高貞|佐々木'''高'''貞]]（塩冶高貞）<ref name="kondo 1979" />
{{col-2}}
*[[大掾高幹|大掾'''高'''幹]]（[[大掾氏]]）
*[[千葉高胤|千葉'''高'''胤]]<ref>{{Cite |和書|author=肥前千葉氏調査委員会 |url=https://hdl.handle.net/2324/20437 |title=中世肥前千葉氏の足跡 : 小京都小城の源流|chapter=「服部英雄 中世小城の景観・海から考える」 |publisher=佐賀県小城市教育委員会 |date=2011 |id={{CRID|1130282270956311040}} |hdl=2324/20437}}尚、この論文では高胤の兄として[[千葉胤高]]も高時の1字を受けた人物として掲載されているが、胤高なる人物は系図類では確認されていない。</ref>
*[[長井挙冬|長井'''高'''冬]]<ref name="kondo 1979" />（※のち長井挙冬）
*[[長井高広|長井'''高'''広]]<ref name="kondo 1979" />（[[長井貞重]]の子）
*[[摂津高親|摂津'''高'''親]]
*[[摂津貞高|摂津'''貞'''高]]
*[[長崎円喜|長崎'''高'''綱]]（円喜）{{Sfn|細川|2000|p=183|loc=脚注(61)}}{{Efn2|但し、「高綱」の名は『[[系図纂要]]』等の系図類に見られるのみで、『小笠原礼書』「鳥ノ餅ノ日記」[[徳治]]2年（[[1307年]]）7月12日条から当初は「盛宗」と名乗っており、高時元服の三ヶ月後には出家している事が確認されるため、その三ヶ月ほどの短期間に名乗っていた可能性は（ないとは言えないものの）低いとされる。}}
*[[長崎高頼|長崎'''高'''頼]]
*[[長崎高資|長崎'''高'''資]]{{Sfn|細川|2000|p=184|loc=脚注(73)}}
*[[長崎高貞|長崎'''高'''貞]]
*[[長崎高重|長崎'''高'''重]]
*[[畠山高国|畠山'''高'''国]]
*[[戸次高貞|戸次'''高'''貞]]（[[戸次氏]]）<ref>『[[群書類従|群書系図部集 四]]』p.362 「大友系図」に「太郎高時賜一字早世」、p.372 「立花系図」に「北條相模守高時爲[[烏帽子親]]。授一字ト云々。」、『入江文書』（『大分県史料10』所収）の「大友田原系図」に「相模守高時加元服」とある。</ref>
*[[三浦高継|三浦'''高'''継]]（[[相模三浦氏]]）
*[[結城朝祐|結城朝'''高''']]（※のち結城朝祐）<ref>典拠は『結城市史』など。詳しくは当該項目を参照のこと。</ref>
ほか

<small>※ 鎌倉幕府滅亡時に高時ら北条氏から離反し、｢高｣の字を棄て改名した者。</small>
{{col-end}}

== 関連作品 ==
<!--[[Wikipedia:関連作品]]より「記事の対象が、大きな役割を担っている（主役、準主役、メインキャラクター、キーパーソン、メインレギュラー、メインライバル、メイン敵役、ラスボス等）わけではない作品」や未作成記事作品を追加しないで下さい。-->
; 小説
* [[高橋直樹 (作家)|高橋直樹]]「北条高時の最期」（『鎌倉擾乱』文藝春秋／文春文庫 所収、1996年）
; テレビドラマ
* [[太平記 (NHK大河ドラマ)|太平記]]（NHK大河ドラマ、1991年、演：[[片岡鶴太郎]]）
* [[北条時宗 (NHK大河ドラマ)|北条時宗]]（NHK大河ドラマ、2001年、演：[[浅利陽介]]）
; 漫画
* [[湯口聖子]]『[[夢語りシリーズ|夢語りシリーズ 風の墓標]]』（秋田書店、1989-1991年）
* [[沢田ひろふみ]]『[[山賊王]]』（講談社、2000年-2009年）
* [[松井優征]]『[[逃げ上手の若君]]』（集英社、2021年-）

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist2}}
=== 出典 ===
{{Reflist|30em}}

== 参考文献・史料 ==
; 文献（図書）
* {{Citation|和書|editor=[[佐藤和彦]]|title=北条高時のすべて|publisher=[[新人物往来社]]|year=1997|isbn=4-404-02494-0}}
* {{Cite book|和書|author=細川重男|authorlink=細川重男|title=鎌倉政権得宗専制論|publisher=[[吉川弘文館]]|year=2000|isbn=4-642-02786-6|ref={{SfnRef|細川|2000}}}}
* {{Cite book|和書|author=細川重男|title=鎌倉幕府の滅亡|publisher=吉川弘文館|year=2011|isbn=978-4-642-05716-5|ref={{SfnRef|細川|2011}}}}
* {{Citation|和書|editor=日本史史料研究会監修、細川重男|title=鎌倉将軍・執権・連署列伝|publisher=吉川弘文館|year=2015|isbn=978-4642082860|ref={{SfnRef|日本史史料研究会|細川|2015}}}}
* {{Cite book|和書|author=永井晋|authorlink=永井晋|title=金沢貞顕|series=[[人物叢書]]|publisher=吉川弘文館|year=2003|isbn=4-642-05228-3}}
* {{Cite book|和書|author=永井晋|title=北条高時と金沢貞顕 <small>やさしさがもたらした鎌倉幕府滅亡</small>|publisher=[[山川出版社]]|series=日本史リブレット|year=2009|isbn=978-4-634-54835-0|ref={{SfnRef|永井|2009}}}}
* {{Citation|和書|author=奥富敬之|authorlink=奥富敬之|chapter=北条高時|editor=安田元久|editor-link=安田元久|title=鎌倉・室町人名事典|edition=コンパクト|publisher=新人物往来社|year=1990|isbn=440401757X|pages=541-542}}
* {{Citation|和書|author=[[山野龍太郎]]|chapter=鎌倉期武士社会における烏帽子親子関係|editor=[[山本隆志]]|title=日本中世政治文化論の射程|publisher=思文閣出版|year=2012|ref={{SfnRef|山野|2012}}}}
* {{Citation|和書|editor=田中大喜|editor-link=田中大喜|series=シリーズ・中世関東武士の研究 第九巻|title=下野足利氏|publisher=戎光祥出版|year=2013|ref={{SfnRef|田中|2013}}}}
* {{Citation|和書|editor1=峰岸純夫|editor1-link=峰岸純夫|editor2=入間田宣夫|editor2-link=入間田宣夫|editor3=白根靖大|editor3-link=白根靖大|title=中世武家系図の史料論|publisher=高志書院|volume=上|year=2007|ref={{SfnRef|峰岸|入間田|白根|2007}}}}

; 史料
* 北条時政以来後見次第（[[東京大学史料編纂所]]所蔵）
* 鎌倉年代記（増補続史料大成）
* 関東開闢皇代并年代記事（[[東京大学]]所蔵）

== 関連項目 ==
{{Commonscat|Hōjō Takatoki}}
* [[太平記]]
* [[宝戒寺]] - 北条高時慰霊のために、北条得宗家邸跡に建立された天台宗の寺院
* [[鬼丸]] - 北条家伝来の刀。北条家滅亡後は、[[足利将軍]]家、[[織田信長]]、[[豊臣秀吉]]が所有。[[宮内庁]]所蔵。

{{鎌倉幕府執権}}
{{北条氏得宗}}
{{Normdaten}}

{{DEFAULTSORT:ほうしよう たかとき}}
[[Category:北条高時|*]]
[[Category:執権|たかとき]]
[[Category:得宗|たかとき]]
[[Category:自殺した日本の人物]]
[[Category:14世紀アジアの統治者]]
[[Category:14世紀日本の政治家]]
[[Category:正四位下受位者]]
[[Category:1303年生]]
[[Category:1333年没]]