野田城・福島城の戦いのソースを表示

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{{otheruses|[[安土桃山時代]]の[[織田信長]]と[[三好三人衆]]の戦い|[[大坂の陣]]での野田・福島の戦い|野田・福島の戦い}}
{{battlebox
|battle_name= 野田城・福島城の戦い
|image = [[画像:Nodaj6.jpg|300px]]
|caption = [[野田城 (摂津国)|野田城]]の石碑
|conflict= [[攻城戦]]
|date= [[元亀]]元年（[[1570年]]）[[8月26日 (旧暦)|8月26日]] - [[9月23日 (旧暦)|9月23日]]
|place= [[野田城 (摂津国)|野田城]]、福島城周辺
|result= [[三好三人衆]]、[[石山本願寺]]連合軍の勝利
|combatant1= [[三好三人衆]]軍[[ファイル:Japanese crest Sanngai Hisi ni itutu Kuginuki.svg|20px]]<br/>[[石山本願寺]]軍<br/>[[雑賀衆]]
|combatant2= 織田軍[[画像:Oda emblem.svg|20px]]<br/>[[室町幕府]]軍
|commander1= [[三好長逸]][[ファイル:Japanese crest Sanngai Hisi ni itutu Kuginuki.svg|20px]]<br/>[[三好宗渭]][[ファイル:Japanese crest Sanngai Hisi ni itutu Kuginuki.svg|20px]]<br/>[[岩成友通]]<br/>[[顕如]]<br/>[[細川昭元]][[ファイル:松笠菱（細川向かい松）.jpg|20px]]<br/>[[三好康長]][[ファイル:Japanese crest Sanngai Hisi ni itutu Kuginuki.svg|20px]]<br/>[[安宅信康]][[ファイル:Japanese crest Sanngai Hisi ni itutu Kuginuki.svg|20px]]<br/>[[十河存保]]<br/>[[斎藤龍興]][[ファイル:Nadeshiko inverted.jpg|20px|撫子紋]]<br/>[[鈴木重秀]][[ファイル:Yatagarasu A.jpg|20px]]
|commander2=[[織田信長]][[画像:Oda emblem.svg|20px]]<br/>[[足利義昭]][[画像:Ashikaga mon.svg|20px]]<br/>[[松永久秀]][[ファイル:Japanese crest Tuta.svg|20px]]<br/>[[細川藤賢]][[画像:Kuyo.svg|20px]]<br/>[[三好義継]][[ファイル:Japanese crest Sanngai Hisi ni itutu Kuginuki.svg|20px]]<br/>[[和田惟政]][[ファイル:Maruni sumitate yotsume.svg|20px]]
|strength1= 三好三人衆軍<br/>5,000～13,000（諸説あり）<br/>石山本願寺軍<br/>不明
|strength2= 織田信長軍<br/>約30,000（諸説あり）<br/>室町幕府軍<br/>約30,000（諸説あり）<ref>『信長公記』</ref>
|casualties1 = 不明
|casualties2 = 不明
|campaign = 織田信長の戦闘
}}

'''野田城・福島城の戦い'''（のだじょう、ふくしまじょうのたたかい）は[[元亀]]元年（[[1570年]]）[[8月26日 (旧暦)|8月26日]]から[[9月23日 (旧暦)|9月23日]]に行われた戦い。この後10年にも亘る[[石山合戦]]の端緒といえる戦いである。

== 開戦までの経緯 ==
[[永禄]]11年（[[1568年]]）、[[織田信長]]らは[[足利義昭]]を奉じて上洛し、[[京都]]から[[三好三人衆]]を追放した。

永禄12年（[[1569年]]）1月、三人衆は報復として本拠地[[阿波国]]から[[畿内]]に上陸、京都の義昭を襲撃して[[本圀寺の変]]を起こすが敗退。しかし、その後も信長打倒を画策し続けた。

元亀元年（[[1570年]]）6月、畿内から織田軍主力が撤収。これを好機と捉えた三人衆は、[[摂津国|摂津]][[池田城 (摂津国)|池田城]]主・[[池田勝正]]の同族・[[池田知正]]と重臣の[[荒木村重]]を調略して、勝正を追放し、挙兵した。

なお、三人衆は[[北近江]]の[[浅井長政]]、[[越前国]]の[[朝倉義景]]、[[石山本願寺]][[法主]]の[[顕如]]らと、開戦前から通じていたという説がある<ref name="daijiten">[[#daijiten|『戦国合戦大事典』]]</ref>。

[[画像:Nodaj14.jpg|thumb|left|石山合戦配陣図の野田城、福島城周辺部分の拡大図]]
同年[[7月21日 (旧暦)|7月21日]]、三人衆軍は摂津中嶋に進出し、野田・福島に移り、[[野田城 (摂津国)|野田城]]・[[福島城 (摂津国)|福島城]]を築城した<ref group="注">野田城・福島城は、かつて[[中嶋の戦い]]で[[浦上村宗]]が野田と福島の地に布陣したのが初見である。現在は都市化され、大きく地形が変化しており、野田城は石碑がある程度で城跡の名残は殆ど見受けられず、福島城は城の場所すら特定されていない。</ref>。

石山合戦配陣図によると、当時この地域は西側が海、北・南・東は川に囲まれた島のような場所であったと推定されている。そのような場所に[[堀]]を掘りなおしたり、壁をつけたり、櫓を建てるなどの改築を実施した。また[[細川昭元]]軍や[[紀伊国]]の[[鈴木重秀|鈴木孫一]]等が率いる[[雑賀衆]]の援軍も到着し、『松井家譜』によると、この時の総数は1万3千兵までになったようである。この雑賀衆というのは、水兵、鉄砲兵からなる傭兵部隊で、三人衆に属していた[[安宅信康]]に雇われた私兵ではなかったかといわれている<ref name="yoheitai">『戦国鉄砲 傭兵隊』{{要ページ番号|date=2021年6月}}</ref>。

この動きに、織田軍でいち早く応じたのが[[松永久秀]]・[[松永久通|久通]]父子で、[[大和国|大和]][[信貴山城]]で戦闘準備を整えると、[[7月27日 (旧暦)|27日]]には信貴山城を出立、[[河内国|河内]]に入国し三人衆軍の河内侵攻に備えた。また[[8月2日 (旧暦)|8月2日]]、足利義昭は[[畠山秋高]]に御内書を送り、信長と合力し紀伊・[[和泉国]]の兵を集結させ三人衆軍に対処するように命じた。

このような状態の中、[[8月17日 (旧暦)|17日]]に三人衆軍によって開戦した。三人衆軍は[[三好義継]]の城であった[[古橋城]]を攻城した。古橋城は三人衆軍を討伐する前線基地のような役割を担わされていた模様で、この時『[[細川両家記]]』によると三好義継軍150、畠山秋高軍150、合わせて300程度が集結していたと記載されている。また『[[尋憲記]]』には400とも記載されている。野田城・福島城を出立した三人衆軍は古橋城を攻めた。『細川両家記』によると、この時の首級が218と記載され、古橋城兵はほぼ全滅に近い損害であった。その後、[[榎並城]]も攻城したようである。

この報を受けた信長は、自ら三人衆を討ち獲るべく、[[馬廻り]]衆3千騎を引き連れて岐阜城を[[8月20日 (旧暦)|20日]]に出立。[[8月21日 (旧暦)|21日]]には[[横山城 (近江国)|横山城]]、[[8月22日 (旧暦)|22日]]には長光寺に、[[8月23日 (旧暦)|23日]]は[[本能寺]]に到着した。『[[言継卿記]]』によると京都にいた時の織田軍は4万まで膨れ上がったようである。その後、京都を[[8月25日 (旧暦)|25日]]に出立、枚方を経由して翌26日には野田城・福島城から南東5kmの[[四天王寺|天王寺]]に着陣した。これに対し三人衆軍も[[三好康長]]、安宅信康、[[十河存保]]、[[斎藤龍興]]等の阿波、[[讃岐国|讃岐]]、[[淡路国|淡路]]からの援軍が到着し、この時の総数を『[[信長公記]]』によると8千ほどとしている。

== 戦いの状況 ==
織田軍の配陣は、本陣を天王寺に置き、天満が森、川口、渡辺、神崎、上難波、下難波、浜の手に陣取り、主力は天満が森で摂津の地理に詳しい三好義継、松永久秀、[[和田惟政]]らを配した{{Refnest|group="注"|このような広範囲に配陣したのは石山本願寺への牽制の意味もあったのではないかとされている<ref name="daijiten"/>。}}。
三人衆軍と比べて織田軍は数倍の兵力があったと思われるが、野田城・福島城が[[デルタ地帯]]にある堅城であった為、いきなり力攻めにしなかったようで、まずは誘降戦術を採った。[[8月28日 (旧暦)|28日]]に細川信良を始め[[三好為三]]、[[香西長信]]らが織田軍へ寝返り<ref>『信長公記』『尋憲記』</ref>、[[9月3日 (旧暦)|9月3日]]に将軍義昭が[[奉行衆]]2千を引き連れ、[[細川藤賢]]のいる[[堀城|中嶋城]]へ着陣している<ref name="tokitsugukyoki">『言継卿記』</ref>{{Efn2|この時期の信長と義昭の関係は微妙なものだったが、この時はまだ表面化していなかった。『信長の天下布武への道』では「足利義昭の出陣はどうやら自分の意志だったようである」としている。また、久野雅司は三好三人衆の標的は義昭であり、この戦いの本質は足利義昭と三好三人衆の戦いで、信長は義昭の、本願寺は三人衆の援軍であったとしている<ref>久野雅司「織田信長と足利義昭の軍事的関係について」『白山史学』第53号、2017年。/所収:久野『織田信長政権の権力構造』[[戎光祥出版]]、2019年、143-145頁。ISBN 978-4-86403-326-8。</ref>。}}。

[[画像:Kmnyogeki.jpg|thumb|300px|近江国の門徒衆に向けた顕如の檄文/明照寺旧蔵]]
このような中、中立を保っていた石山本願寺の顕如が書状を出しており､その内容は、
{{Cquote3|1=
信長上洛に就て、此の方迷惑せしめ候。去々年以来、難題を懸け申し付けて、随分なる扱ひ、彼の方に応じ候と雖もその詮なく、破却すべきの由、慥に告げ来り候。此の上は力及ばす。然ればこの時開山の一流退転なきの様、各身命を顧みず、忠節を抽らるべきこと有り難く候。併ら馳走頼み入り候。若し無沙汰の輩は、長く門徒たるべからず候なり。あなかしこ。

<div style="margin-left:2em;margin:8px 30px">九月六日</div>

<div style="text-align:right;margin:8px 0px">顕如</div>

<div style="margin-left:2em;margin:8px 30px">門徒中へ</div>
}}
とある。これは近江中部の本願寺門徒衆に宛てたもので、「身命をかえりみず」と記していることから、戦闘態勢を整えていたのではないかと推察されている。また顕如は[[9月10日 (旧暦)|9月10日]]にも[[浅井久政]]・長政父子に書状を送っている。

[[画像:Tepu2.jpg|250px|thumb|口径が大きい火縄銃]]
織田軍は野田城・福島城の対岸に「楼岸の[[砦]]」と「川口の砦」を築き、それぞれに武将を入れ、環境が整った[[9月8日 (旧暦)|8日]]、野田城・福島城の西の対岸にあった[[浦江城]]（別名、手好城、[[海老江 (大阪市)|海老江]]の砦）を三好義継、松永久秀隊が攻城した。この時[[火縄銃]]以外にも[[火縄銃#弾丸重量・銃身長による分類|大鉄砲]]が用いられたのではないかと思われている。大鉄砲とは通常の火縄銃に比べて口径が大きく主に攻城戦や[[海戦]]に使用されたと言われている。そのような兵器を使い三好：松永隊は浦江城を落城させ、野田城・福島城の攻城の砦とした。織田軍は更に川を埋め、対岸に土手を築き、櫓を上げ、[[9月11日 (旧暦)|11日]]より野田城・福島城への直接的な攻城が開始され城兵の首級が7つ上がり、翌[[9月12日 (旧暦)|12日]]は更に鉄砲を使用した攻城戦となったようである。

この日別動隊が織田軍に加わった。『信長公記』によると、雑賀衆・[[根来衆]]の2万兵（内、[[鉄砲]]衆3千兵）からなる連合軍が遠里小野、住吉、天王寺に陣取った。援軍を得た織田軍は三好三人衆軍との間で銃撃戦となり、この時の様子を『信長公記』は、「御敵身方の鉄砲誠に日夜天地も響くはがりに候」と伝えている。

その後、織田軍は[[畠中城]]も落城させた。三人衆軍にも鉄砲があったと思われているが、野田城・福島城に入城している鈴木重秀等が率いる傭兵雑賀衆にもかなり数の鉄砲が存在していたと思われている{{Refnest|group="注"|2万からなる雑賀衆・根来衆は義昭の要請に応じた畠山秋高がおくりだした援軍で、「天地も響く」と言われる銃撃戦は傭兵雑賀衆と雑賀衆・根来衆連合軍が戦った可能性がある。<ref name="yoheitai"/>}}。

浦江城、畠中城が落城し、目の前には砦や櫓がいくつも建てられ、2万兵からなる雑賀・根来連合軍が合流すると、さすがに三人衆は信長に和平を申し込むが、信長は徹底攻撃を主張し和平案を受け入れなかった。この時まで堅城を誇る野田城・福島城に苦戦しているものの、大勢は織田軍の有利に変化なく和平案の拒否は当然と思われている。

しかし、この日の夜半から戦況は石山本願寺の参戦で変化する。『細川両家記』に、
{{quotation|九月十二日夜半に寺内の早鐘つかせられ候へば、即ち人数集まりけり。信長方仰天なく候}}
とあり、石山勢は鐘を合図にして織田軍に襲いかかったようである。石山本願寺は福島城まで約4kmに位置する。顕如軍が参戦したことにより三人衆軍の士気が上がり、翌[[9月13日 (旧暦)|13日]]早朝、織田軍がせき止めていた防堤を打ち破ったようで、この時の状況を『細川両家記』は、
{{quotation|にわかに西風が吹いて西海より高塩水が噴き上がり、淀川逆に流れたり。（中略）信長方の陣屋とも、ことごとくつかり、難儀に及ぶよしに候}}
と記している。浦江城だけではなく、野田城・福島城を周りを取り込んでいた砦も海水に浸かってしまったと思われている。また『信長公記』によると同日夜には顕如自ら鎧を着て織田軍の本陣に襲いかかり、「楼岸の砦」と「川口の砦」には石山本願寺から鉄砲を撃ちかけたようである。

翌[[9月14日 (旧暦)|14日]]は海水がなかなか引かず、翌[[9月15日 (旧暦)|15日]]から[[9月17日 (旧暦)|17日]]までは鉄砲による攻撃が出来ず大規模な戦闘にはならなかったようである{{Refnest|group="注"|諸国の門徒衆が集結するのを恐れたためではなかったかとされている<ref name="daijiten"/>。}}。

[[9月16日 (旧暦)|16日]]、近江で浅井・朝倉連合軍が信長の背後を突くべく進軍を開始している。この報せを受けた[[宇佐山城]]主・[[森可成]]は[[野府城]]主・[[織田信治]]、[[青地茂綱]]らと共に交通の要所である[[坂本 (大津市)|坂本]]を先に占領して街道を封鎖、連合軍の南進妨害を試みる。そして16日に緒戦においては連合軍を撃退する。

[[ファイル:Usayamajo06.jpg|thumb|宇佐山城の本丸下石垣]]
しかし、顕如の要請を受けた[[延暦寺]]の僧兵も連合軍に加わると、形勢は逆転。[[9月20日 (旧暦)|20日]]、森らはさらに数の増えた連合軍を押し返すなど健闘を見せるが、浅井対馬・玄蕃の2千に側面から攻撃を仕掛けられ、さらに[[朝倉景恒]]、[[山崎吉家]]、[[阿波賀三郎]]の隊に加え浅井長政本隊もこれに加わったため、ついに崩れて森可成、織田信治、青地茂綱の3人は戦死する（[[宇佐山城#宇佐山城の戦い|宇佐山城の戦い]]）<ref group="注">『足利季世記』によると、同日に顕如軍が5千-6千の兵で信長がいる森口を襲撃したともいう。</ref>。

続いて浅井・朝倉連合軍は宇佐山城への攻城戦に移行。守備側は1000人、攻城側は3万人と劣勢であったが、可成の重臣[[各務元正]]、[[武藤兼友]]、[[肥田直勝]]、[[林通安]]らが奮闘して持ちこたえた。連合軍は城攻めを諦め、[[9月21日 (旧暦)|21日]]に逢坂から京都の[[山科区|山科]]方面まで出軍してきた。

翌日の[[9月22日 (旧暦)|22日]]の浅井長政の書状には、
{{Cquote3|
まず坂本に至って着陣候。一両日中に京都へ罷り上るべき相談、半ばに候。野田、福島いよいよ堅固に相聞こえ申し候。一途ほど御座あるべく候。御心易く思召され候|4=浅井長政書状
}}
とあり、石山本願寺や三人衆と連携していたとうかがえる。同日、[[柴田勝家]]が信長の本陣に出向き、京都に戻るように進言した<ref name="tokitsugukyoki"/>。

23日、信長は全部隊に撤退命令を出し、足利義昭と共に帰京。これを知った浅井・朝倉連合軍は比叡山に後退。翌[[9月24日 (旧暦)|24日]]、信長は逢坂を越え、近江へと向かった。戦いは「[[志賀の陣]]」へと続く。
[[画像:Ishiyama3.jpg|thumb|center|500px|野田城、福島城の戦いの配陣図/[[大阪城天守閣]]蔵]]

== 戦後の影響 ==
三人衆軍には[[9月27日 (旧暦)|27日]]、[[篠原長房]]が中心となり、[[細川真之]]、[[三好長治]]、[[十河存保]]ら、阿波・讃岐の兵2万からなる大援軍が兵庫浦に上陸、翌28日、織田軍に属していた[[瓦林城]]、[[越水城]]の城主・瓦林三河守を討ち取り、[[10月1日 (旧暦)|10月1日]]に野田城・福島城に入城する。ここに至って信長は、三人衆、本願寺、浅井長政、朝倉義景、[[六角義賢]]ら連合軍との和睦を模索する事になる。義昭は三人衆に対しては敵対心があったようではあるが、顕如に対しては開戦当初から一貫して和平を求めており、信長はこれを利用し[[朝廷 (日本)|朝廷]]工作を実施し、[[正親町天皇]]より「講和斡旋を希望す」という言を得て、[[11月30日 (旧暦)|11月30日]]に各陣営で話し合いが行われ、[[12月14日 (旧暦)|12月14日]]に和睦が成立し、長政、義景、六角連合軍も撤兵する。この時、三人衆と篠原長房は、旧敵であった三好義継、[[松永久秀]]とも和睦しており、その後、両者は共闘することとなった。この戦い以降、信長は浅井・朝倉・六角連合軍の討伐にしばらく忙殺される事になる。

開戦当初は織田軍に属していた雑賀・根来連合軍であったが、石山本願寺と同じ[[浄土真宗]]の門徒であったため、石山本願寺が参戦後、すぐには入城しなかったが、本格化な籠城戦となっていくと、鈴木孫一らが率いる傭兵雑賀衆と行動を共にし、石山本願寺へ入城し信長の敵対勢力となっていく<ref name=suzuki>{{Harvnb|鈴木|2004|pp=70–74, 92–99, 178–179}}.</ref>。

== 補説 ==
* 織田軍の兵力は『言継卿記』では2-3万、『{{ws|[[:s:足利季世記|足利季世記]]}}』や『細川両家記』では3万、『尋憲記』では6万と記載されている。これに対して三人衆軍は、『言継卿記』では5-6千、『信長公記』では8千、『[[多聞院日記]]』では1万、『尋憲記』では1万3千。信長が着陣してからも両軍に援軍が到着しており、正確な兵数の把握は当時も難しかったと思われている。
* 『[[陰徳太平記]]』によると、雑賀・根来連合軍は実は石山本願寺と結託して織田軍の背後を襲うべく時期をうかがっていたとされるが、この記述の信憑は低いと推測する指摘もある<ref name=suzuki />。
[[画像:Tepu5.jpg|200px|thumb|火縄銃]]
* 鉄砲を集団的に使用した最初の戦いは[[長篠の戦い]]が有名であるが、鉄砲を集団で使用したという点では、それより5年前にさかのぼる「野田城・福島城の戦い」が最初ではないかとされている<ref name="yoheitai"/>。『信長公記』等に記載されている雑賀衆・根来衆の鉄砲3千兵がどこまで正確かは不明だが、織田軍、三人衆軍、傭兵雑賀衆等の鉄砲を合わせると、かなりの数がこの地域に集中していたのではないかと推察されている。それらが野田城・福島城や周辺の砦や櫓から鉄砲を使った攻城戦が繰り広げたのではないかと思われている。また雑賀衆の[[佐武義昌|佐武伊賀守]]なる人物が後の石山合戦で櫓にあがり、撃ち手となり他の5名が弾丸をこめ、堀などを渡って突破しようとする敵を確実に仕留めていった。伊賀守のみがこのような戦術を実施したわけではなく、「野田城・福島城の戦い」でも用いられていたと推察でき、このような戦術ノウハウを雑賀衆・根来衆が共有し有能な鉄砲集団となっていった<ref name="yoheitai"/>。
* 顕如の檄文には「織田信長が石山本願寺の破却を命じた」と書かれているが、それを通達した書状は見つかっていない。また、本願寺側以外の記録にそのような記述が見られず、『細川両家記』には「信長が仰天した」とあること、通達のタイミング（おそらく檄文より少し前）が信長にとって悪すぎ、かつ本願寺にとって好都合なことなどから、「破却を命じた」というのは顕如および本願寺側のでっち上げである可能性が指摘されている{{Sfn|神田|2007|p=157}}。一方で信長は大坂の地を狙っていたという説もある{{Sfn|熱田|1992|p=71}}。
* なぜ石山本願寺が、宿敵・比叡山と敵対している信長に対して決起したかという理由について、三人衆に味方したためではないかという説がある{{Sfn|神田|2007|p=157}}。本願寺門徒が大和に[[道場]]を建てようと試みた時、三人衆の1人[[岩成友通]]が助力したとの記述が『多聞院日記』にある。最終的に大和の寺社からの激しい反対にあって断念したが、この時に友通が熱心に助力していたため、三人衆に対して好印象を持ったのではないかとしている。
[[画像:Shojyou1.jpg|thumb|300px|六角義賢の書状/個人蔵]]
* [[六角義賢]]は書状（右参照）で、宇佐山城を攻城し織田信治と森可成以下数百名を討ち取ったことを浅井方に知らせるために、地元の[[土豪]]・市川吉澄が船を用意した事に対して礼を述べている。2行目と3行目に「森三左衛門尉以下数百人討死」との記載が見られる。その後、志賀の陣で義賢は比叡山に立てこもることになる。[[六角氏]]と[[浅井氏]]は長らく対立していたが、この時は反信長で協調し、浅井・朝倉連合軍に従軍していたと思われる。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist2}}
=== 出典 ===
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
* {{Citation|和書|title=日本城郭大系 第12巻 大阪・兵庫|publisher=[[新人物往来社]]|date=1981-03|page=232}}
* {{Citation|和書|editor=戦国合戦史研究会|title=戦国合戦大事典 四 大阪・奈良・和歌山・三重|publisher=新人物往来社|date=1989-04|pages=12-16|ref=daijiten}}
* {{Cite book|和書|author=熱田公|authorlink=熱田公|title=天下一統|series=日本の歴史|publisher=[[集英社]]|date=1992-04|ref={{SfnRef|熱田|1992}}}}
* {{Citation|和書|title=風雲信長記-激情と烈日の四十九年-|series=歴史群像シリーズ27|publisher=[[学研ホールディングス|学習研究社]]|date=1998-03|page=172}}
* {{Citation|和書|editor=岡田正人|editorlink=岡田正人|title=織田信長総合辞典|publisher=[[雄山閣出版]]|date=1999-09|pages=345-347}}
* {{Cite book|和書|author=鈴木眞哉|authorlink=鈴木眞哉|title=戦国鉄砲・傭兵隊 -天下人に逆らった紀州雑賀衆-|publisher=[[平凡社]]|series=[[平凡社新書]]|date=2004-08|ref={{SfnRef|鈴木|2004}}}}
* {{Cite book|和書|author=谷口克広|authorlink=谷口克広|title=信長の天下布武への道|series=戦争の日本史13|publisher=[[吉川弘文館]]|date=2006-12|pages=93-97}}
* {{Cite book|和書|author=神田千里|authorlink=神田千里|title=一向一揆と石山合戦|series=戦争の日本史14|publisher=吉川弘文館|date=2007-10|ref={{SfnRef|神田|2007}}}}
* {{Cite book|和書|author=今谷明|authorlink=今谷明|title=戦国三好一族 天下に号令した戦国大名|publisher=[[洋泉社]]|date=2007-04|pages=268-269}}
* {{Citation|和書|editor=滋賀県立安土城考古博物館|editor-link=滋賀県立安土城考古博物館|title=信長と安土城|publisher=滋賀県立安土城考古博物館|date=2008-01|page=15}}
* {{Cite journal|和書|author=渡辺武|authorlink=渡辺武 (歴史学者)|title=幻の野田城を探る|journal=大阪春秋|volume=第24巻|issue=第3号|date=2007-10}}

== 関連項目 ==
* [[日本の合戦一覧]]
* [[織田政権]]
* [[三好政権]]
* [[信長包囲網]]
* [[本願寺の歴史]]
* [[畿内・近国の戦国時代]]

== 外部リンク ==
* [http://www.city.osaka.lg.jp/fukushima/page/0000000858.html 区内碑めぐり/福島区公式ホームページ]

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