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'''バスガイド'''は、団体貸切バスや[[観光バス]]、[[定期観光バス]]に同乗する案内係で、[[観光地]]名所旧跡など、旅ガイドを務めたり乗客の世話(主に車内サービス下車誘導・下車説明等)する[[乗務員]](車掌)をす[[和製英語]]で、戦後観光バスが再開された際、当時[[日本バス協会|日本乗合自動車協会]]理事だった沢辺正明が「バスガイド」と名付けたといわれる<ref name="clarion1984">{{Cite journal|和書|title=ガイドの歴史は学生アルバイトで始まった|journal=クラリオンバス機器ニュース別冊・情報編|author=西美智夫|issue=9|date=1984-10-5|page=8|publisher=[[フォルシアクラリオン・エレクトロニクス|クラリオン]]}}</ref>。
'''バスガイド'''は、団体貸切[[バス (交通機関)|バス]]や[[観光バス]]、[[定期観光バス]]に同乗、[[観光地]]名所旧跡について解説や、乗客の車内サービス下車誘導など担う[[乗務員]]([[車掌]]。[[日本]]では[[東京乗合自動車]]が[[1925年]]([[大正]]14年)12月25日、「ユーランバス」に初めて導入した<ref name=バスガイドとは?>[[東北地方]]の貸切バス事業者14社による「新バス観光」推進グループ公式サイト内「[https://www.how-to-busguide.com/about/ バスガイドとは?]」(2024年1月2日閲覧)参照。</ref>。「バス」と、案内役意味る「ガイド」を組み合わせた「バスガイド」という呼称は[[和製英語]]で、[[第二次世界大]]観光バスが再開された際、当時[[日本バス協会|日本乗合自動車協会]]理事だった沢辺正明が「バスガイド」と名付けたといわれる<ref name="clarion1984">{{Cite journal|和書|title=ガイドの歴史は学生アルバイトで始まった|journal=クラリオンバス機器ニュース別冊・情報編|author=西美智夫|issue=9|date=1984-10-5|page=8|publisher=[[フォルシアクラリオン・エレクトロニクス|クラリオン]]}}</ref>。


バスガイドは日本発祥のサービスであり、日本以外ではバスツアーにバスガイドが付くことはあまりない<ref>大人の常識研究会『できる人は知っている 大人の常識国語』([[学研パブリッシング]]、2013年)231頁</ref>。日本以外の[[パッケージツアー]](パック旅行)では目的地ごとに現地ガイドと契約して観光地の案内を依頼する形態が多い。ただし、パッケージツアーによっては現地ガイドが初日から最終日まで同行するスルーガイドと呼ばれる形態が存在する。
[[団体]]は、必ずしも観光旅行とは限らず、スポーツ少年団から企業研修や学校研修の研修地への移動、冠婚葬祭にまつわるものなど多種多様である。

バスガイドは日本発祥の団体観光向けのバスにおけるサービスであり、日本以外ではバスツアーにバスガイドが付くことはあまりない<ref>大人の常識研究会『できる人は知っている 大人の常識国語』学研パブリッシング、2013年、231頁</ref>。日本以外のパッツアーでは目的地ごとに現地ガイドと契約して観光地の案内を依頼する形態が多い。ただし、パッツアーによっては現地ガイドが初日から最終日まで同行するスルーガイドと呼ばれる形態が存在する。


== 資格 ==
== 資格 ==
バスガイドは旅程の管理などを職務とする添乗員とは本質的に仕事の内容は異なる。
バスガイドは旅程の管理などを職務とする添乗員とは本質的に仕事の内容は異なる。


観光案内をしない運転者以外の乗務員をツアーメイトバスメイトは単にメイト車掌ボーイと呼ぶ。バック誘導・横断・乗降注意清掃が主な仕事で、旅行業界ではこれらの乗務員をバスガイドと呼ぶことはい。
観光案内をしない運転者以外の乗務員をツアーメイト」「バスメイト」または単にメイト」「車掌」「ボーイと呼ぶ。バス運転手に対するバック誘導、乗客の乗降や道路横断時の注意、車内清掃が主な仕事で、旅行業界ではこれらの乗務員をバスガイドと呼ぶことはい。


== 雇用 ==
== 雇用 ==
雇用形態は、[[バス事業者|バス会社]]の正社員(公営事業者の場合は常勤一般職地方公務員)、もしくは嘱託など。最近では小規模観光バス会社の増加に伴い、バスガイド[[人材派遣|派遣]]業者の設立もみられ、派遣ガイドが増えている。
雇用形態は、[[バス事業者|バス会社]]の正社員(公営事業者の場合は常勤一般職地方公務員)、もしくは嘱託など。最近では小規模観光バス会社の増加に伴い、バスガイド[[人材派遣|派遣]]業者の設立もみられ、派遣ガイドが増えている。


就業者のほとんどは[[女性]]である。(ごく一部ではあるが[[男性]]ガイドの例もみられる)
大半は女性であるが、近年{{いつ|date=2021年12月}}、男性ガイドの例もみられる(山梨交通や沖縄が有名)。観光[[専門学校]]を卒業して就業する場合もあるが、基本的に高校新卒で入社するケースが多く、採用段階で特定の資格は必要ない。


1960年代ら70年代にかけ[[幼稚園]]教諭、看護婦([[看護師]])、スチュワーデス([[客室乗務員]])などと並び、女性の憧れの職業で上位にランクしたこともあるが、近は他の職業に比べ相対的な待遇の低下、修学旅行等の団体旅行の減少、ガド無し運行、女性の社会進出拡大により以前ほどの人気はない。
[[幼稚園]]教諭、看護婦([[看護師]])、スチュワーデス([[客室乗務員]])などと並び、女性の憧れの[[職業]]で上位にランクインていたが、近年で環境の変化よる待遇の低下や[[新型コロナウルス感染症 (2019年)|新型コロナウイルス]]影響により以前ほどの人気はない。しかし、恒例の「はとバス二十歳を祝う会」等の華やかな面は健在であり、苦境に立たされる[[日本のバス|バス業界]]に明るい活気をもたらしている


「決定版 日本の給料&職業図鑑 最強DXリニューアル版」([[宝島社]]・[[2024年]])によると、バスガイドの平均給料は25万円、生涯賃金は1億7200万円とされており、これは、[[歯科衛生士]]、[[刑務官]]、[[旅行代理店]]社員、[[ブライダルコーディネーター]]等と同額である。
運転士とペアで乗務すること、台数口([[梯団]])運行がある以上、服務管理は厳格に設定されている。女性の多い職種柄、寮などを備える会社も多い。

[[運転士]]とペアで乗務すること、台数口([[梯団]])運行がある以上、服務管理は厳格に設定されている。女性の多い職種柄、寮などを備える会社も多い。

2024年には、[[奈良交通]]で初の男性バスガイドが誕生した<ref>{{Cite web|url=https://mainichi.jp/articles/20240401/k00/00m/040/218000c|title=創業81年で初の男性バスガイド 奈良交通で18歳笑顔の入社式|accessdate=2024-04-02|publisher=毎日新聞}}</ref>。


== 料金体系 ==
== 料金体系 ==
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== 主な職務内容 ==
== 主な職務内容 ==
[[ファイル:Ginrei bus S200F 3041back.JPG|thumb|180px|後退するバスと安全確認するバスガイド [[銀嶺バス]]]]
[[ファイル:Ginrei bus S200F 3041back.JPG|thumb|180px|後退するバスと安全確認する[[銀嶺バス]]のガイド]]
{{試聴
{{試聴
|filename = Abashiri kankō kōtsū Busguide whistle.OGG
|filename = Abashiri kankō kōtsū Busguide whistle.OGG
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通常は観光バス・定期観光バス1台につき1名乗務する。[[就業規則]]等により、乗務中の制服着用を義務付ける企業が大半である。乗務中のほとんどで乗客と接するため、バスガイドの印象は会社・旅行のイメージを左右することから、制服のデザインは運転士に比べてファッション性を重視したものになっている<ref>[[エレベーターガール]]や案内嬢、キャンペーンレディーのようなスタイル。コーポレートカラーや社章を入れた[[レディーススーツ]]型に[[制帽]]、白手袋。</ref>。
通常は観光バス・定期観光バス1台につき1名乗務する。[[就業規則]]等により、乗務中の制服着用を義務付ける企業が大半である。乗務中のほとんどで乗客と接するため、バスガイドの印象は会社・旅行のイメージを左右することから、制服のデザインは運転士に比べてファッション性を重視したものになっている<ref>[[エレベーターガール]]や案内嬢、キャンペーンレディーのようなスタイル。コーポレートカラーや社章を入れた[[レディーススーツ]]型に[[制帽]]、白手袋。</ref>。


* 乗客への観光地や名所旧跡などの説明、案内。[[ご当地ソング|ご当地歌謡]]や民謡等の歌唱。この際以前は立って案内していたが、2008年改正道路交通法により座席着席案内になった。
* 乗客への観光地や名所旧跡などの説明、案内。[[ご当地ソング|ご当地歌謡]]や[[民謡]]等の歌唱。この際以前は立って案内していたが、2008年改正[[道路交通法]]により座席着席案内になった。
* 地図によるナビゲーションや駐車時などのバスの誘導など、運転手の補助
* 地図によるナビゲーションや駐車時などのバスの誘導など、運転手の補助
*: 後方誘導は、バックカメラや拡大鏡等が付いていない場合、後方確認が運転手からは難しく、かつては二人乗務が法的義務となっていた。[[ホイッスル]]の吹鳴間隔によるバスの誘導技術は今では余り見ることができない{{要出典|date=2010年9月}}。[[国道158号#主な峠|安房峠]]などの狭い峠道では、バスに先行して対向車を止める必要がある場合もあった。
*: 後方誘導は、バックカメラや拡大鏡等が付いていない場合、後方確認が運転手からは難しく、かつては二人乗務が法的義務となっていた。[[ホイッスル]]の吹鳴間隔によるバスの誘導技術は今では余り見ることができない{{要出典|date=2010年9月}}。[[国道158号#主な峠|安房峠]]などの狭い峠道では、バスに先行して対向車を止める必要がある場合もあった。
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== 新人バスガイドが受ける研修 ==
== 新人バスガイドが受ける研修 ==
ガイドのイメージはバス会社にとって重要な要素であるため、入社後の研修は厳しく、カ月から最長で1年の研修期間を経て乗務に就くことが多い(研修期間はバス会社により異なる)。研修は発音練習から始まり、数百ページにものぼる観光地の地理や歴史を網羅した案内資料の学習と暗記、乗車教習、歌唱指導、車両誘導など多岐にわたる。
ガイドのイメージはバス会社にとって重要な要素であるため、入社後の研修は厳しく、3カ月から最長で1年の研修期間を経て乗務に就くことが多い(研修期間はバス会社により異なる)。研修は発音練習から始まり、数百ページにものぼる観光地の地理や歴史を網羅した案内資料の学習と暗記、乗車教習、歌唱指導、車両誘導など多岐にわたる。

内容はバス会社により異なるが、新人バスガイドは入社後に集合研修を受け、接客、身だしなみ、発声・[[滑舌]]練習、[[挨拶]]の仕方、関連法規、会社概要、社規社則等を教わる。その後は配属先営業所毎に分かれ、車両の扱い方、バック誘導、事故発生時に乗客を安全に誘導するための実習等が行われる。


内容はバス会社により異なるが、新人バスガイドは入社後に集合研修を受け、接客、身だしなみ、発声・[[滑舌]]練習、挨拶の仕方、関連法規、会社概要、社規社則等を教わる。その後は配属先営業所毎に分かれ、車両の扱い方、バック誘導、事故発生時に乗客を安全に誘導するための実習等が行われる。
== 歴史 ==
== 歴史 ==
[[ファイル:Classic Bus 1945.jpg|200px|right|thumb|[[別府地獄めぐり|地獄めぐり]]定期観光バス(1950年代)]]
[[ファイル:A bus conductor in Tokyo.jpg|thumb|戦前の[[東京]]における遊覧用[[ボンネットバス]]と女性ガイド(当時の絵葉書)]]
1920年2月、東京市街自動車に女性車掌(白衿嬢)が乗務した<ref name="clarion1996">{{Cite journal|和書|title=制服今昔|journal=クラリオンバス機器ニュース別冊・情報編|author=西美智夫|issue=21|date=1996-11-20|page=7|publisher=クラリオン}}</ref>。1924年12月20日、[[都営バス#沿革|東京市営バス]]に女性車掌(赤襟嬢)が乗務した<ref name="clarion1996" /><ref>東京朝日新聞</ref>。[[1925年]][[12]]、[[東京乗合自動車]](1922年東京市街自動車を改称)が遊覧自動車に観光案内のため乗務させたのがバスガイド(当時は案内係と呼ばれた)の最初である<ref name="clarion1984" />。観光案内には豊富な知識が要するとされて、大学を卒業した男性のみを採用した。しかし案内能力は抜群に良かったが、それに見合う手当(当時[[帝国大学]]卒の初任給が60円、私大卒が50円だったところ、基本給60円、手当20円<ref name="clarion1984" />)や待遇を要し、かなりの高コストになってしまった。
1920年(大正9年)2月、東京市街自動車に女性車掌(白衿嬢)が乗務した<ref name="clarion1996">{{Cite journal|和書|title=制服今昔|journal=クラリオンバス機器ニュース別冊・情報編|author=西美智夫|issue=21|date=1996-11-20|page=7|publisher=クラリオン}}</ref>。1924年12月20日、[[都営バス#沿革|東京市営バス]]に女性車掌(赤襟嬢)が乗務した<ref name="clarion1996" /><ref>※掲載日・記事名不明※『東京朝日新聞</ref>。1925年(大正14年)1225日<ref name=バスガイドとは?/>、[[東京乗合自動車]](1922年東京市街自動車を改称)が遊覧自動車に観光案内のため乗務させたのがバスガイド(当時は案内係と呼ばれた)の最初である<ref name="clarion1984" />。観光案内には豊富な知識が要するとされて、大学を卒業した男性のみを採用した。しかし案内能力は抜群に良かったが、それに見合う手当(当時[[帝国大学]]卒の初任給が60円、私大卒が50円だったところ、基本給60円、手当20円<ref name="clarion1984" />)や待遇を要し、かなりの高コストになってしまった。
[[ファイル:Classic Bus 1945.jpg|200px|right|thumb|[[別府地獄めぐり]]定期観光バスのガイド(手前、1950年代)]]

今日の女性バスガイドは[[1928年]]1月<ref>{{Cite web|title=会社概要|url=http://www.kamenoibus.com/company.php|publisher=亀の井バス|accessdate=2021-4-29}}</ref>、[[大分県]][[別府市]]の亀の井遊覧自動車(現・[[亀の井バス]])が[[別府地獄めぐり|地獄巡り]]遊覧バスを運行する際に、当時同社を経営していた[[油屋熊八]]が考案したのが[[嚆矢]]である。[[2009年]][[3月30日]]に亡くなった[[村上アヤメ]]は当時採用された第一号ガイドの一人である<ref>{{cite web |url=http://www.asahi.com/obituaries/update/0331/SEB200903310005.html |title=日本初のバスガイド逝く 昭和初め、別府温泉PRに尽力 |accessdate=2009年3月31日 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20090403075642/http://www.asahi.com/obituaries/update/0331/SEB200903310005.html |archivedate=2009年4月3日 }} - 朝日新聞(2009年3月31日)</ref>。若い女性の採用と、七五調による観光案内<ref>当時「不老暢人」のペンネームで文筆活動をしていた社員薬師寺知朧の作で、親交のあった[[菊池寛]]、[[久米正雄]]が別府に来た時に読んでもらい一部を修正した。</ref>が大好評を博し、現在も[[別府温泉]]で運行されている国内で最も長い歴史を持つ[[定期観光バス]]である。現在の[[別府地獄めぐり]]コースでも当時の七五調ガイドが一部に用いられている。
今日のような女性バスガイドは[[1928年]](昭和3年)1月<ref>{{Cite web|title=会社概要|url=http://www.kamenoibus.com/company.php|publisher=亀の井バス|accessdate=2021-4-29}}</ref>、[[大分県]][[別府市]]の亀の井遊覧自動車(現・[[亀の井バス]])が[[別府地獄めぐり|地獄巡り]]遊覧バスを運行する際に、当時同社を経営していた[[油屋熊八]]が考案したのが[[嚆矢]]である。[[2009年]]([[平成]]21年)[[3月30日]]に亡くなった[[村上アヤメ]]は当時採用された第一号ガイドの一人である<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.asahi.com/obituaries/update/0331/SEB200903310005.html |title=日本初のバスガイド逝く 昭和初め、別府温泉PRに尽力 |accessdate=2009年3月31日 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20090403075642/http://www.asahi.com/obituaries/update/0331/SEB200903310005.html |archivedate=2009年4月3日 }} - 朝日新聞(2009年3月31日)</ref>。若い女性の採用と、七五調による観光案内<ref>当時「不老暢人」のペンネームで文筆活動をしていた社員薬師寺知朧の作で、親交のあった[[菊池寛]]、[[久米正雄]]が別府に来た時に読んでもらい一部を修正した。</ref>が大好評を博し、現在も[[別府温泉]]で運行されている国内で最も長い歴史を持つ定期観光バスである。現在の[[別府地獄めぐり]]コースでも当時の七五調ガイドが一部に用いられている。


同年7月<ref name="clarion1984" />、東京乗合自動車でも女性ガイドに切り替え、全国に女性バスガイドが波及した。戦後の[[1949年]](昭和24年)に運行を開始した[[はとバス]]も、当初から女性ガイドでスタートしている。
同年7月<ref name="clarion1984" />、東京乗合自動車でも女性ガイドに切り替え、全国に女性バスガイドが波及した。戦後の[[1949年]](昭和24年)に運行を開始した[[はとバス]]も、当初から女性ガイドでスタートしている。
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[[大阪市]]の中央観光バス(現[[ジパング (大阪府)]])において、観光ガイドは行わず、飲料の配布や客の接待のみに従事する、スチュワーデスと呼ばれる接待専門の乗務員も存在した(倒産後、現在はそのような事はない)。
[[大阪市]]の中央観光バス(現[[ジパング (大阪府)]])において、観光ガイドは行わず、飲料の配布や客の接待のみに従事する、スチュワーデスと呼ばれる接待専門の乗務員も存在した(倒産後、現在はそのような事はない)。


[[1999年]]に改正された[[雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律|男女雇用機会均等法]]の施行で、男性バスガイドも採用されるようになったが、多くない。
[[1999年]](平成11年)に改正された[[雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律|男女雇用機会均等法]]の施行で、男性バスガイドも採用されるようになったが、多くない。

なお、はとバスでは、1999年以前から外国人旅行者向けの定期観光バスに男性ガイドを採用していた<ref>バスジャパン6号はとバス特集</ref>


== バスガールの日 ==
なお、はとバスでは、1999年以前から外国人旅行者向けの定期観光バスに男性ガイドを採用していた<ref>バスジャパン6号はとバス特集に掲載</ref>
前述の東京市街自動車に女性車掌(白衿嬢)が乗務した<ref name="clarion1996">{{Cite journal|和書|title=制服今昔|journal=クラリオンバス機器ニュース別冊・情報編|author=西美智夫|issue=21|date=1996-11-20|page=7|publisher=クラリオン}}</ref>日が1920年(大正9年)2月2日だったことから、毎年2月2日を[[バスガール]]の日と定めている<ref>[http://hukumusume.com/366/kinenbi/pc/02gatu/2_02.htm 今日は何の日?] 2024年2月2日</ref>。


== バスガイド経験者の著名人 ==
== バスガイド経験者の著名人 ==
=== 芸能人 ===
=== 芸能人 ===
* 北野玲子 - [[北海道中央バス]]
* 北野玲子[[北海道中央バス]]
* [[清姫舞]](AV女優)
* [[清姫舞]](AV女優)
* [[小橋亜樹]] - [[道北バス]]
* [[小橋亜樹]][[道北バス]]
* [[まきのめぐみ]]:[[国際興業バス]]
* [[堤さやか]]
* [[まきのめぐみ]] - [[国際興業バス]]
* [[八代亜紀]][[九州産交バス|九州産交]]
* [[八代亜紀]] - [[九州産バス|九州産交]]
* [[YUKI (歌手)]][[北都通 (北海道)|北都]]
* 河村ようこ[[東都自動車グループ|東都観光バス]]
* [[YUKI (歌手)|YUKI]](歌手)
* [[斉藤京子 (ものまねタレント)|斉藤京子]]:はとバス
* 河村ようこ - [[東都自動車グループ|東都観光バス]]


=== 政治家 ===
=== 政治家 ===
* [[糸数慶子]] - [[沖縄バス]]、[[東陽バス]]
* [[糸数慶子]][[沖縄バス]]、[[東陽バス]]


=== 著作家 ===
=== 著作家 ===
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== 書籍 ==
== 書籍 ==
* ご指名!古都のバスガイド(出版当時[[奈良交通]]バスガイド、現:フリー・木島亜里沙著、[[2008年]][[9月18日]][[メディアファクトリー]]刊)
* ご指名!古都のバスガイド(出版当時[[奈良交通]]バスガイド、現:フリー・木島亜里沙著、[[2008年]][[9月18日]][[メディアファクトリー]]刊)


== 脚注 ==
== 脚注 ==
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* [[バスむすめ]]
* [[バスむすめ]]
* [[アナウンサー]]
* [[アナウンサー]]
* [[運転士]]


{{Normdaten}}
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[[Category:日本のホスピタリティ産業]]
[[Category:日本のホスピタリティ産業]]
[[Category:日本の観光]]

2024年5月14日 (火) 11:10時点における最新版

1934年頃の日本のバス車掌

バスガイドは、団体貸切バス観光バス定期観光バスに同乗し、観光地・名所旧跡についての解説や、乗客への車内サービス、下車誘導などを担う乗務員車掌)。日本では東京乗合自動車1925年大正14年)12月25日、「ユーランバス」に初めて導入した[1]。「バス」と、案内役を意味する「ガイド」を組み合わせた「バスガイド」という呼称は和製英語で、第二次世界大戦後に観光バスが再開された際、当時日本乗合自動車協会理事だった沢辺正明が「バスガイド」と名付けたといわれる[2]

バスガイドは日本発祥のサービスであり、日本以外ではバスツアーにバスガイドが付くことはあまりない[3]。日本以外のパッケージツアー(パック旅行)では目的地ごとに現地ガイドと契約して観光地の案内を依頼する形態が多い。ただし、パッケージツアーによっては現地ガイドが初日から最終日まで同行するスルーガイドと呼ばれる形態が存在する。

資格

[編集]

バスガイドは旅程の管理などを職務とする添乗員とは本質的に仕事の内容は異なる。

観光案内をしない運転者以外の乗務員を「ツアーメイト」「バスメイト」または単に「メイト」「車掌」「ボーイ」と呼ぶ。バス運転手に対するバックの誘導、乗客の乗降や道路横断時の注意、車内清掃が主な仕事で、旅行業界ではこれらの乗務員をバスガイドと呼ぶことはない。

雇用

[編集]

雇用形態は、バス会社の正社員(公営事業者の場合は常勤一般職地方公務員)、もしくは嘱託など。最近では小規模観光バス会社の増加に伴い、バスガイド派遣業者の設立もみられ、派遣ガイドが増えている。

就業者のほとんどは女性である。(ごく一部ではあるが男性ガイドの例もみられる)

かつては幼稚園教諭、看護婦(看護師)、スチュワーデス(客室乗務員)などと並び、女性の憧れの職業で上位にランクインしていたが、近年では事業環境の変化による待遇の低下や新型コロナウイルスの影響により以前ほどの人気はない。しかし、恒例の「はとバス二十歳を祝う会」等の華やかな面は健在であり、苦境に立たされるバス業界に明るい活気をもたらしている。

「決定版 日本の給料&職業図鑑 最強DXリニューアル版」(宝島社2024年)によると、バスガイドの平均給料は25万円、生涯賃金は1億7200万円とされており、これは、歯科衛生士刑務官旅行代理店社員、ブライダルコーディネーター等と同額である。

運転士とペアで乗務すること、台数口(梯団)運行がある以上、服務管理は厳格に設定されている。女性の多い職種柄、寮などを備える会社も多い。

2024年には、奈良交通で初の男性バスガイドが誕生した[4]

料金体系

[編集]

かつてのバスガイド料金はバス貸切料金に含まれており、観光バス・貸切バスには必ずバスガイドが全行程において乗務していたが、2000年2月1日に実施された道路運送法改正により、バス貸切料金とバスガイド料金は別料金とする制度に改められたため、バスガイドが乗務せず、あるいは行程において必要な部分だけガイドが乗務するケースが増えてきている。

案内する場所に特化したバスガイドもある。例えば、他地方のバスが、四国に入る直前に四国専門のガイドを乗せ、あるいは、東京のバスが京都に夜行で走り、京都で現地のガイドを乗せる、というように、その地方に特化したガイドを乗せることで、案内内容の充実を図り、現地に着くまでは運転手のみの運行で乗務に無駄を省く場合もある。下車観光地でも、バスガイドが全ての案内をせず、その観光地専門のガイドにゆだねる場合も多い。

一部の募集型企画旅行(格安ツアーなど)では、単価を抑える為にガイドの業務を添乗員が行う場合もある。

そのような現状もあり近年ではバスガイド自体が減少傾向にある。[要出典]

主な職務内容

[編集]
後退するバスと安全確認する銀嶺バスのガイド

通常は観光バス・定期観光バス1台につき1名乗務する。就業規則等により、乗務中の制服着用を義務付ける企業が大半である。乗務中のほとんどで乗客と接するため、バスガイドの印象は会社・旅行のイメージを左右することから、制服のデザインは運転士に比べてファッション性を重視したものになっている[5]

  • 乗客への観光地や名所旧跡などの説明、案内。ご当地歌謡民謡等の歌唱。この際以前は立って案内していたが、2008年改正道路交通法により座席着席案内になった。
  • 地図によるナビゲーションや駐車時などのバスの誘導など、運転手の補助
    後方誘導は、バックカメラや拡大鏡等が付いていない場合、後方確認が運転手からは難しく、かつては二人乗務が法的義務となっていた。ホイッスルの吹鳴間隔によるバスの誘導技術は今では余り見ることができない[要出典]安房峠などの狭い峠道では、バスに先行して対向車を止める必要がある場合もあった。
  • ドアの開閉、集合時刻の告知
  • ビデオデッキカラオケなど車内娯楽機器の取り扱いや、湯茶や飲料水の配布を行う場合がある。
  • 事故発生時の乗客の誘導
  • 乗客降車後に車内の清掃

新人バスガイドが受ける研修

[編集]

ガイドのイメージはバス会社にとって重要な要素であるため、入社後の研修は厳しく、3カ月から最長で1年の研修期間を経て乗務に就くことが多い(研修期間はバス会社により異なる)。研修は発音練習から始まり、数百ページにものぼる観光地の地理や歴史を網羅した案内資料の学習と暗記、乗車教習、歌唱指導、車両誘導など多岐にわたる。

内容はバス会社により異なるが、新人バスガイドは入社後に集合研修を受け、接客、身だしなみ、発声・滑舌練習、挨拶の仕方、関連法規、会社概要、社規社則等を教わる。その後は配属先営業所毎に分かれ、車両の扱い方、バック誘導、事故発生時に乗客を安全に誘導するための実習等が行われる。

歴史

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戦前の東京における遊覧用ボンネットバスと女性ガイド(当時の絵葉書)

1920年(大正9年)2月、東京市街自動車に女性車掌(白衿嬢)が乗務した[6]。1924年12月20日、東京市営バスに女性車掌(赤襟嬢)が乗務した[6][7]。1925年(大正14年)12月25日[1]東京乗合自動車(1922年に東京市街自動車を改称)が遊覧自動車に観光案内のため乗務させたのがバスガイド(当時は「案内係」と呼ばれた)の最初である[2]。観光案内には豊富な知識が要するとされて、大学を卒業した男性のみを採用した。しかし案内能力は抜群に良かったが、それに見合う手当(当時帝国大学卒の初任給が60円、私大卒が50円だったところ、基本給60円、手当20円[2])や待遇を要し、かなりの高コストになってしまった。

別府地獄めぐり定期観光バスのガイド(手前、1950年代)

今日のような女性バスガイドは1928年(昭和3年)1月[8]大分県別府市の亀の井遊覧自動車(現・亀の井バス)が地獄巡り遊覧バスを運行する際に、当時同社を経営していた油屋熊八が考案したのが嚆矢である。2009年平成21年)3月30日に亡くなった村上アヤメは当時採用された第一号ガイドの一人である[9]。若い女性の採用と、七五調による観光案内[10]が大好評を博し、現在も別府温泉で運行されている国内で最も長い歴史を持つ定期観光バスである。現在の別府地獄めぐりコースでも当時の七五調ガイドが一部に用いられている。

同年7月[2]、東京乗合自動車でも女性ガイドに切り替え、全国に女性バスガイドが波及した。戦後の1949年(昭和24年)に運行を開始したはとバスも、当初から女性ガイドでスタートしている。

大阪市の中央観光バス(現ジパング (大阪府))において、観光ガイドは行わず、飲料の配布や客の接待のみに従事する、スチュワーデスと呼ばれる接待専門の乗務員も存在した(倒産後、現在はそのような事はない)。

1999年(平成11年)に改正された男女雇用機会均等法の施行で、男性バスガイドも採用されるようになったが、多くない。

なお、はとバスでは、1999年以前から外国人旅行者向けの定期観光バスに男性ガイドを採用していた[11]

バスガールの日

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前述の東京市街自動車に女性車掌(白衿嬢)が乗務した[6]日が1920年(大正9年)2月2日だったことから、毎年2月2日をバスガールの日と定めている[12]

バスガイド経験者の著名人

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芸能人

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政治家

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著作家

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楽曲

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書籍

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脚注

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  1. ^ a b 東北地方の貸切バス事業者14社による「新バス観光」推進グループ公式サイト内「バスガイドとは?」(2024年1月2日閲覧)参照。
  2. ^ a b c d 西美智夫「ガイドの歴史は学生アルバイトで始まった」『クラリオンバス機器ニュース別冊・情報編』第9号、クラリオン、1984年10月5日、8頁。 
  3. ^ 大人の常識研究会『できる人は知っている 大人の常識国語』(学研パブリッシング、2013年)231頁
  4. ^ 創業81年で初の男性バスガイド 奈良交通で18歳笑顔の入社式”. 毎日新聞. 2024年4月2日閲覧。
  5. ^ エレベーターガールや案内嬢、キャンペーンレディーのようなスタイル。コーポレートカラーや社章を入れたレディーススーツ型に制帽、白手袋。
  6. ^ a b c 西美智夫「制服今昔」『クラリオンバス機器ニュース別冊・情報編』第21号、クラリオン、1996年11月20日、7頁。 
  7. ^ ※掲載日・記事名不明※『東京朝日新聞』
  8. ^ 会社概要”. 亀の井バス. 2021年4月29日閲覧。
  9. ^ 日本初のバスガイド逝く 昭和初め、別府温泉PRに尽力”. 2009年4月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年3月31日閲覧。 - 朝日新聞(2009年3月31日)
  10. ^ 当時「不老暢人」のペンネームで文筆活動をしていた社員薬師寺知朧の作で、親交のあった菊池寛久米正雄が別府に来た時に読んでもらい一部を修正した。
  11. ^ 『バスジャパン』6号「はとバス特集」
  12. ^ 今日は何の日? 2024年2月2日

関連項目

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