木下弥右衛門

木下 弥右衛門（きのした やえもん）（？ - 天文12年1月2日（1543年2月5日））は、豊臣秀吉の実父とされる人物。 姓や出自等については依然多くの説がありはっきりしないが、それらの説のうち諱があるモノについては基本的に諱は「昌吉」で統一されている模様。

出自

長らくその実像は不明で、貧民の出身という説もある。別の説では、父は尾張国下四郡守護代の織田達勝に仕えていたと言い、愛知郡中村で広大な田地を有していた豪農だったと伝わり、他説でも名主級の富裕層であったと伝わることから、農業を主な生業としつつも、足軽達を統括する主たる生業とする格の高い在地武士であったとする。弥右衛門自身にも川並衆の蜂須賀正利に仕えたという説もある。

2000年代に入って愛知県内の神社から弥右衛門の名を記した願文が発見され、弥右衛門が名主級の有力農民であり、織田信秀の村方相談役に名を連ねていたことが判明した。

系図によっては、近江国浅井氏の一派尾張浅井氏の一族とされ、浅井重政の次男浅井氏政の後裔・木下国吉を始祖とする木下氏の末裔とされる。この系図によれば、木下弥右衛門昌高の弟木下右衛門尉吉高の子（『中興武家系図』巻十九、『塩尻』、『尾陽雑記』）。伯父と同じく木下弥右衛門（中村弥助とも）を称した。諱は昌吉。通称は弥助とも。諱の「昌」「吉」及び、通称の「弥」はともに木下氏の通字であることになる。

経歴

織田大和守家（清洲織田氏）の重臣清洲三奉行の一人である織田弾正家の当主織田信秀に仕え、足軽組頭として活躍したとされる。弥右衛門昌吉はいずれかの合戦において膝を切断され、あるいは足の裏を負傷したために辞職し、故郷に帰農したという。

間もなく中村と同じ愛知郡の御器所村の在地武士であり刀匠であった関兼員（弥五郎）の次女なか（仲、のちの大政所）と結婚し、日吉丸（のちの豊臣秀吉）・とも（日秀、三好吉房夫人）、小竹（のちの豊臣秀長）、朝日（朝日姫、徳川家康継室。駿河御前）を授かる。小竹、朝日についてはなかの後夫の竹阿弥（水野昌盛）の子ともされる。

しかし、1543年（天文12年）1月2日秀吉が7歳の時に（『京都瑞竜寺過去帳』、『木下家系図』）死亡した。死因は不明。

その後なかは三河国の水野為春の子で織田信秀の同朋衆だった竹阿弥（三輪氏ともいう）と再婚した。

関連書籍

• 中興武家系図
• 塩尻
• 尾陽雑記