「必殺シリーズ10周年記念スペシャル 仕事人大集合」の版間の差分
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『'''必殺シリーズ10周年記念スペシャル 仕事人大集合'''』(ひっさつしりーず10しゅうねんきねんすぺしゃる しごとにんだいしゅうごう)は、[[必殺シリーズ]]開始10周年を記念して、[[朝日放送]]([[ABCテレビ]])と京都映画撮影所(現・[[松竹京都撮影所 (企業)|株式会社松竹京都撮影所]])が制作し、[[1982年]][[10月1日]]の21:05 - 23:18に[[テレビ朝日]]系列で放映された[[時代劇]]。 |
『'''必殺シリーズ10周年記念スペシャル 仕事人大集合'''』(ひっさつしりーず10しゅうねんきねんすぺしゃる しごとにんだいしゅうごう)は、[[必殺シリーズ]]開始10周年を記念して、[[朝日放送]]([[ABCテレビ]])と京都映画撮影所(現・[[松竹京都撮影所 (企業)|株式会社松竹京都撮影所]])が制作し、[[1982年]][[10月1日]]の21:05 - 23:18に[[テレビ朝日]]系列で放映された[[時代劇]]。 |
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*必殺シリーズ10周年記念と銘打って、[[棺桶の錠]]をはじめ知らぬ顔の半兵衛など、名立たる仕事師たちが登場し、各々の殺しのシーンでは過去シリーズでお馴染みのBGMが挿入されるといった、ファンサービス的な作品である。 |
*必殺シリーズ10周年記念と銘打って、[[棺桶の錠]]をはじめ知らぬ顔の半兵衛など、名立たる仕事師たちが登場し、各々の殺しのシーンでは過去シリーズでお馴染みのBGMが挿入されるといった、ファンサービス的な作品である。 |
2013年6月22日 (土) 20:17時点における版
ドラマ |
『必殺シリーズ10周年記念スペシャル 仕事人大集合』(ひっさつしりーず10しゅうねんきねんすぺしゃる しごとにんだいしゅうごう)は、必殺シリーズ開始10周年を記念して、朝日放送(ABCテレビ)と京都映画撮影所(現・株式会社松竹京都撮影所)が制作し、1982年10月1日の21:05 - 23:18にテレビ朝日系列で放映された時代劇。
概要
- 必殺シリーズ10周年記念と銘打って、棺桶の錠をはじめ知らぬ顔の半兵衛など、名立たる仕事師たちが登場し、各々の殺しのシーンでは過去シリーズでお馴染みのBGMが挿入されるといった、ファンサービス的な作品である。
- 『新・必殺仕事人』の最終回で離ればなれとなったレギュラー達が本作にて再集結し、この翌週から放映開始となる『必殺仕事人III』の第1話へと繋がる橋渡し的な作品となっている。
- 滅多に江戸から離れることの無い主水だが、スペシャルでは様々な場所へ出向き活躍する。今回の最終舞台は長崎で「江戸の仇を長崎で討つ」という喩えの韻を踏んだ趣向である。なお、蛇足になるが、本作が放送された1982年10月1日に鹿児島放送が開局した。
あらすじ
オランダ商館の一行が江戸に到着したその日、抜け荷検めの船手同心が殺され、また、江戸で唯一オランダ品を商う大店・江戸屋が襲われて一人残らず惨殺された。いずれも人間の仕業とは思われない酷い手口であった。
程なくして仕事人・伊八が元締・鹿蔵の許へ、病気の妻のために鹿蔵が工面してくれた金を返しに現れる。まとまった金が手に入ったと言う伊八を鹿蔵は江戸屋の件で疑うが、伊八は仕事の仔細を鹿蔵に打ち明け釈明する。
その夜、伊八は、品川の女郎宿に、ターゲットであるオランダ商館のカピタンの「仕事」に向かったが、彼はすでに布団で冷たくなっており、逆にその従者であるセクンデに銃殺される。伊八の受けた仕事に嘘があると見抜いた鹿蔵は、頼み人の通訳・篠原を訪ね、篠原とセクンデから伊八の弔い料を奪い取る。翌朝、数十発もの銃弾を受けた鹿蔵の遺骸が大川に浮かび、主水はその残虐性から、先ごろ皆殺しにあった江戸屋や、船手同心惨殺事件との関連を疑う。
数日後、主水は長崎奉行所への栄転が決まり、せんとりつを伴い長崎へと向かう。一方、おりくは、鹿蔵からの手紙によって、一連の事件にはオランダ人一行が関与していることを知り江戸にもどるが、鹿蔵の死を知り、その大坂で決着をつけるべく、長崎へ向け出発したオランダ人一行を追う。
秀は駿府・舞阪にいた。ある日、知らぬ顔の半兵衛と共に仕事を済ませた秀は、カピタンの妹、マリアと出会う。その直後、渡世人姿の外国人に襲撃され、すんでの処を半兵衛に救われる。半兵衛と別れた秀は、加代、主水と再会を果たすが、油断した隙をつかれ仕事人・与市にマリアを奪われてしまう。
主水たちが大坂に着いて早々、仕掛の天平が主水に近づき、寅拾番会に誘う。寅拾番会、仕事人が殺しの依頼を競り落とすその席には、おりくがいた。おりくは、オランダ商品の抜け荷と利権絡みで悪事を働く角屋宗兵衛とセクンデの殺しを百両で落札し、主水にも加わるよう頼むが…。
登場人物
『必殺仕業人』の「あんたこの替玉をどう思う」における特別企画を除くと、必殺シリーズで緒形拳と藤田まことが同じ作品に出たのは本作のみである。山田五十鈴と森田健作と緒形が揃ったのは『必殺からくり人』以来で、山田と沖雅也は『必殺からくり人・富嶽百景殺し旅』以来の共演。中条きよし、フランキー堺、西郷輝彦は『恐怖の大仕事』から連続出演である(キャラクターは一応別で、与市も前作では一度死んでいる)。
仕事人
- 中村主水 - 藤田まこと
- 『新・必殺仕事人』最終回で一旦は裏の仕事から足を洗っていたが、栄転先の長崎奉行所に向かう途中の上方で、寅の会に誘われ、おりくと再会する。最初は協力を断ったが、セクンデらにはめられた虎が死んだことを知り、その復讐もあって仕事人復帰を決意する。
- 飾り職人の秀 - 三田村邦彦
- 飾り職人。前作最終回で江戸を離れた後、駿府で、かつて江戸で裏稼業を行っていた半兵衛とコンビを組んで、裏の仕事を続けていた。半兵衛の気まぐれで解散した後に、謎の一団に命を狙われて住処に逃げ込んでいたマリアと共に、彼女が片言に言う長崎へ同行することを決意する。
- 何でも屋の加代 - 鮎川いずみ
- 前作最終回で江戸を離れたが、離れるきっかけとなった富くじで得た五百両を行きずりの男にだまされて持ち逃げされ、流浪者として、各地を転々としていた。駿府で秀と半兵衛の殺しを目撃し、その後秀について長崎に向かい、出島潜入の際の手引きなどを行う。
- 三味線屋の勇次 - 中条きよし
- 前作で仕事人解散後も江戸に残っていた。鹿蔵の死を目の当たりにし、仕事人の流儀に沿ってその敵を討つために、おりくとともに異人団一行を追って西に向かうが、セクンデの罠で敵に捕らえられてしまう。
- おりく - 山田五十鈴
- 勇次の育て親。勇次と別れて上方で暮らしていた。かつては世帯の関係であったという鹿蔵の恨みを晴らすため、上方の寅の会に接触し、他のグループが千両でも割に合わないと考えるセクンデら外国人がらみの仕事を、百両という破格な値で競り落とす。しかし、その依頼は仕事人一味をあぶりだす罠で、協力した仕事人はことごとく殺害され、ほうほうの体で逃げ出し、主水に助けを求める。
- 名倉堂与市 - フランキー堺
- 必殺シリーズ初のスペシャル編である『特別編必殺仕事人 恐怖の大仕事 水戸・尾張・紀伊』からの客演(ただし別人)。普段は整体師を生業としているが、実は鹿蔵の養子で、彼らの死の秘密を探り出し、おりくらに伝える。マリアも、今回の一件のキーパーソンだと睨み、秀の元から連れ去り、おりくらと囲っていた。セクンデの一味の拷問で体の自由が利かなくなっていた勇次の荒療治させた後主水らと出島での仕事に向かう予定だったが、その直前にセクンデの手下に銃殺される。遊郭で遊んでいて、往来で行き倒れて死ぬ様は、今回のスペシャルに際しオファーしたが出演が実現しなかった念仏の鉄へのオマージュだと思われる。また、服装はやいとや又右衛門に近いものである。
- 知らぬ顔の半兵衛 - 緒形拳
- 『必殺必中仕事屋稼業』からの客演。『仕事屋』最終回で江戸を離れ、駿府で秀と共に裏稼業を続けていたが、潮時と感じ、敢えて別れを告げる(殺しのBGMは『必殺必中仕事屋稼業 / 必殺仕切人 ― オリジナル・サウンドトラック全集 5 』トラック30. 裏稼業仕事屋〜さすらいの唄(インストゥルメンタルII))。 仕事屋出演時と比べ、長髪な風貌であった。
- 棺桶の錠 - 沖雅也
- 『必殺仕置人』からの客演。最終回で江戸を離れ、棺桶屋を辞めて、女郎の斡旋をしていた。『仕置人』時代に比べて、挙動不審な面が目立っているが、裏稼業は継続していた模様。虎らとの仕事の際に大怪我を負い、セクンデらに拉致された勇次を救出し、おりくらの元に送り届ける。最終決戦の長崎、出島では、久々に主水とチームを組み、『新・仕事人』メンバーと『仕置き』を敢行する(勇次救出時の殺しのBGMは『必殺仕置人オリジナルサウンドトラック』トラック42. 仕置のテーマ / 主水合流後は『新必殺仕事人 / 必殺仕事人 III― オリジナルサウンドトラック』トラック39. 暗闇者/殺しのテーマ=必殺仕事人IIIの殺しのテーマ)。その後は、マリアの案内でバタヴィアに渡ったが、『仕事人アヘン戦争へ行く』ではいつのまにか日本に戻って、主水たちに協力していた。今回は、主水とは対面していない。
- 仕掛の天平 - 森田健作
- 『必殺からくり人』からの客演。『からくり人』最終回で爆死したが、今回は西の元締・虎の用心棒として、かつての死神同様の役柄で再出演(以前から生存していた、あるいは別人という見解が可能)。セクンデの配下と激突した際、致命傷を負い、仕事人の流儀に従うように瀕死の虎もろとも爆死した(殺しのBGMは虎と同じ)。
- 元締・虎 - 藤村富美男
- 『新・必殺仕置人』最終回では、役人と繋がって(旧)寅の会乗っ取りを企む外道仕置人らに刺殺されたが、今回は同じ役で再登場。ただし、前作は江戸の元締だったが、今回は西の元締と設定されている。寅の会の基本ルールは新仕置人と似ており、句会を模して、その結びの句にターゲットを詠み込み、仕置料をせり下げていくというもの。今回の仕事は、鹿蔵らを罠に掛けたということもあり、自らも出陣したが、配下の仕事人が内通していたため、計画は露呈していた。待ち伏せしていたセクンデの手下らに銃撃され、命を落とす(出陣のBGMは『新・必殺仕置人オリジナルサウンドトラック』トラック42. 仕置のテーマ〜問答無用!〜 殺しは同サントラ39.悲しみの果てに)。
- 鹿蔵 - 2代目中村鴈治郎
- 『必殺仕事人』初期に出演した元締。今回は東の元締として登場。セクンデらに唆されて、外道な仕事に手を染めた手下を責め、依頼主を探り出そうとしたが、逆に仕事人組織壊滅を狙っていたセクンデらの手下に素性がばれ、惨殺されてしまった。
- 伊八 - 常田富士男
- 今回のオリジナルの仕事人で、鹿蔵の配下。鹿蔵に借金があったが、カピタン殺しという大仕事を引受け、それを返済しようとした。しかし、その殺しは罠で、逆にセクンデに銃殺されてしまう。鹿蔵が奪った弔い料の金子は、伊八の妻の元に届けられた。
その他
- 中村せん - 菅井きん / 中村りつ - 白木万理
- 主水の姑と嫁。終盤での主水の名前間違いで長崎から江戸に戻ることになった際は無駄に振り回されたと憤っていた。
- 筆頭同心・田中 - 山内敏男(現・としお)
- 南町奉行所筆頭同心。主水を疎ましく思っていたようで、主水の長崎転勤も、むしろ喜んでいた。
- カピタン - リチャード・レッシュ
- 仕事人・伊八が狙っていたオランダ人。伊八が駆けつけた頃にはセクンデの配下に殺されていた。
- マリア - スターニャ・ブチンスカー
- 日本の江戸に隠れていたカピタンの妹。秀に匿われつつ長崎へ向かう。
- 角屋宗兵衛 - 小松方正
- セクンデと組み、鉄砲の密輸で荒稼ぎしていた商人。美代次の密告で、仕事人達を迎え撃ち、虎の会を壊滅に追い込む。主水に仕留められた。
- セクンデ - アイ・ジョージ
- 本作の黒幕。非情な手口を使って仕事人たちを手に掛け続ける。
- 仲村主水 - 西郷輝彦
- 長崎奉行所に栄転となった本来の人物。外見は中村主水に全く似ていない。
- 通訳・篠原 - 亀石征一郎
- 美代次 - 梅津栄
- 清次 - 堀内正美
- 竜 - 大前均
- 喜平 - 永田光男
- お夕 - 宮田圭子
- 妙春尼 - 宮本毬子
- 親分 - 千葉保
- 飯盛女 - 平岡和
- 遊女 - 中塚和代
- 弥平 - 中村光辰
- 佐山 - 野上哲夫
- 医者 - 伊波一夫
- 水夫 - 美鷹健児
- 妓夫 - 諸木淳郎
- 小者 - 荻原広行
- 女中 - 倉谷礼子
- 足軽 - 松尾勝人
- 用心棒 - 東悦次
- 船頭 - 丸尾好広
- 古着屋 - 加茂雅幹
- 門番 - 伊藤克美
- 瓦職人 - 扇田喜久一
- 御用聞き - 加藤正記
- 飛脚 - 平井靖
- 料亭女将 - 山村嵯都子
- おいらん - 花柳陽要
- 芸者 - 的野真衣
- テオ - ルーク・ジョンストン
- ジェレミー - ハワード・モヘッド
- リストン - ドウェイン・ブラッドシュウ
- ヤンセン - テイラー・グランド
殺し技
- 中村主水
- 悪人を油断させながら、一瞬の隙を付いて、脇差を相手の急所に刺す。
- 飾り職人の秀
- 金属製の房が付いた金色の簪で、悪人の首筋を刺す。
- 三味線屋の勇次
- 表稼業に使う三味線の三の糸を、悪人の首筋目掛けて投げ、首に巻き付け締め上げ、宙吊りにして弦を鳴らし、窒息死させる。
- おりく
- 本来は三味線の撥だが、この作品では鹿蔵の恨みを晴らす仕事で、報復の意味で、悪人の武器(拳銃)を使用した。
- 名倉堂与市
- 分銅がついた紐を投げつけ、相手を吊り下げ、首を締める。この技は後に、必殺仕事人Vの組紐屋の竜が継承する。
- 知らぬ顔の半兵衛
- 悪人の首(喉元)を手拭いで押さえながら、剃刀で、瞬時に切り裂く。
- 棺桶の錠
- 金属製の鏨(たがね)を手槍に変形させて、悪人の急所を刺す。
- 仕掛の天平
- 花火玉を投げ、悪人に命中させて爆破する。
- 元締・虎
- バット型の棍棒で、悪人の頭部を強打、撲殺する。
- 伊八
- 針で、相手の急所を刺す。『必殺仕掛人』の藤枝梅安と同じものだが、当時「仕掛人」は、唯一原作つきであるため、露出に制限があったため、その代替策としての登用と思われる。
スタッフ
- 制作 - 山内久司(朝日放送)
- プロデューサー - 仲川利久(朝日放送)、櫻井洋三(松竹)
- 脚本 - 野上龍雄、高山由紀子
- 音楽 - 平尾昌晃
- 撮影 - 石原興
- 照明 - 中島利男
- 美術 - 倉橋利韶
- 編集 - 園井弘一
- 殺陣 - 楠本栄一
- 特技 - 宍戸大全
- 題字 - 糸見渓南
- 監督 - 工藤栄一
- 制作協力 - 京都映画株式会社(現:松竹京都撮影所)
- 制作 - 朝日放送、松竹株式会社
主題歌
- 「冬の花」
- 作詞 - 石坂まさを / 作曲 - 平尾昌晃 / 編曲 - 竜崎孝路 / 唄 - 鮎川いずみ
- 発売 - CBSソニー(現・ソニー・ミュージックレコーズ)
出典
- 必殺スペシャル DVD-BOX上巻[1] 封入解説書