新しい社会運動
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新しい社会運動(new social movements)とは、フランスの社会学者アラン・トゥーレーヌが中期(1968~1986年)の時期に、脱産業社会における中心的な紛争をめぐる理念的なアクターに与えた名称であり、仮説である。脱産業社会に現れるかもしれない「社会運動」のことを指しており、それが実在するかどうかを確認するために、彼とその弟子たちは大規模な社会学的介入調査を実施した[1]。 実態的な概念ではなく、良く誤解されているが、反原発運動や女性運動、学生運動イコール「新しい社会運動」だとトゥレーヌが言っているわけではない――この点はひと括りにされることの多いクラウス・オッフェやユルゲン・ハーバマスの議論とは根本的に異なる。それらの運動のなかに、「社会運動」の要素が存在するかどうかを検証することが重要だということを彼は強調している。実際、社会学的介入調査の結果、反原発運動や女性運動、学生運動、地域主義運動などはいずれも、全体として「社会運動」と呼べるものではなかった、というのがトゥレーヌ達の結論である[2]――この点は日本はもちろん、世界的にも良く誤解されている。
脚注
- ^ Touraine, 1978, La voix et le regard: sociologie des mouvements sociaux, Paris, Les Éditions du Seuil(=1981, 『声とまなざし』新泉社)
- ^ McDonald, K., 1994, “Alain Touraine’s Sociology of the Subject,” Thesis Eleven, 38: 46-60. 濱西栄司、2009、「トゥレーヌ社会学における中心的テーゼの確立と展開――「強い」社会運動論の可能性、脱フランス化と日本」『現代社会学理論研究』、日本社会学理論学会、3: 163-174.
参考文献
- アラン・トゥレーヌ 『声とまなざし――社会運動の社会学』(新泉社, 1983年)
- アラン・トゥレーヌ他 『現代国家と地域闘争――フランスとオクシタニー』(新泉社, 1984年)
- アラン・トゥレーヌ他 『反原子力運動の社会学――未来を予言する人々』(新泉社, 1984年)
- アラン・トゥレーヌ 『新装 声とまなざし――社会運動の社会学』(新泉社, 2011年)
外部リンク