正八
絵草子屋の正八(えぞうしや の しょうはち)は、時代劇・必殺シリーズ(第10弾『新・必殺仕置人』及び第12弾『江戸プロフェッショナル・必殺商売人』)に登場する、火野正平演ずる架空の人物。小説などの原作を持たない、テレビ番組オリジナルのキャラクターである。
キャラクター
中村主水(演:藤田まこと)・念仏の鉄(演:山崎努)の新たな仲間として、鋳掛屋の巳代松(演:中村嘉葎雄)、スリのおてい(演:中尾ミエ)とともに、元締・虎(演:藤村富美男)の主催する「寅の会」の仕置人となった(『新・仕置人』)。
出身地は甲州(『新・仕置人』第30話「夢想無用」より)。妹がいたが、既に死別(『新・仕置人』第32話「阿呆無用」より)。武芸の心得が無く腕っ節も強くは無いがすばしっこく、主に仕置相手の情報収集と仕置の段取りを担当。
表稼業の絵草子屋の地下は、一味のアジトとなっている。
お調子者で腕っぷしは弱いが、その優しさと情の深さは、多くのファンに愛されている。大人の仕置人たちの中で、割り切れない部分も多く、よく悩んでいるが、切り替えは速いようである。第30話でおたみ(演:津田京子)に惚れたことから仕置人から足を洗っておたみと夫婦になろうとし、主水や鉄たちに掟破りは許さないと厳しく責められたが、皮肉にもおたみは殺されてしまい、一度殺しをしたら仕置人から二度と足は洗えないのを覚悟して自ら小刀を手にしておたみを殺した悪人を殺して仇を討ったこともある。
最終話「解散無用」にて、寅の会は解散し、虎と鉄の死により、巳代松・おていは江戸を離れる。しかし正八は引き続き江戸に残り、およそ1年後、再び主水とともに新グループ「商売人」として、殺し屋稼業を再開(『商売人』)。
表稼業は絵草子屋から、足力屋なる足踏みマッサージ屋に転業し、かつ不忍池の畔にある灯台(おせいや新次が住む根津にも近い)を住まいとしそこの番人も兼ねていた。この灯台もまた、商売人のアジトとして多用された。
『商売人』に入ってからも主役の話は少なかったが仕事ぶりは『新・仕置人』同様優秀であった。しかし『商売人』に入ってから子供にかっぱらいの罪を被せられ、強盗に家を乗っ取られる、敵の家の屋根裏で話を盗み聞きしているところに敵に勘付かれ攻撃され負傷する、暴走集団に着物を盗まれるなど、かなり運が悪くなっている。21話以降最終話までいつもの着物を盗まれたため、すべて寝巻きで活動していた。
『新・仕置人』にて、絵草子を届けた先の旗本の幼い跡取りが継母を嫌いだとこぼすのに対し(実際家督を巡って謀殺されかかっていた)、自分と同じだと答えるなど幸薄い過去が窺われるが、『商売人』においては足力の客となった若侍が母親を邪険に扱うのを見て、特別コースと称して本気で散々に踏み付け蹴飛ばし遁走するという一面も見せている。
余談
シリーズ第14弾『翔べ! 必殺うらごろし』の正十とは同一人物という説もあるが、正八が『新・仕置人』第30話で一度だけ殺しをしたのに対し、正十は一度も殺しをしていないことが『うらごろし』第19話「童が近づくと殺人者が判る!!」で判明している。第13話で小坂一也演じる同心に目こぼし料を取られる。セリフで昔の知り合いにあんたみたいな役人いたとあることから中村主水を想定できる。同一人物説のいわれである。
実際に歌手活動も行う火野に合わせ歌も得意という設定で、劇中歌として「冬よ来い」のアルバムを使用。第17・30・40話では「想い出は風の中」を、第40話では「海」も歌っている。『商売人』においては主題歌の「夢ん中」を口ずさむこともあった。
『新・必殺仕置人』に登場する、謎のキャラクター「屋根の男」演じるマキは火野のマネージャーで、第21話から最終回まで参加する。