熱中症警戒アラート
熱中症警戒アラート(ねっちゅうしょうけいかいアラート、英: Heat Stroke Alert)とは、熱中症予防のために、気象庁と環境省が発表している情報。2020年7月1日に全国に先駆けて関東甲信地方を対象に運用していたが、2021年4月28日より、全国で運用を開始した。
背景・歴史
気象庁は2011年から高温注意情報を発表していたが、発表基準が気温のみであり湿度が加味されておらず[2]、発表基準と熱中症が原因の救急搬送者数に相関がみられない場合があること[3][4]、頻繁に発表されることから情報が重視されなくなっている[4]ことなどが課題として挙げられていた。これを解決するために、2020年3月13日、気象庁と環境省とが連携して、暑さ指数(WBGT)を基準とする新たな情報「熱中症警戒アラート(仮称)[4][3]」の発表を開始することが、国土交通大臣の赤羽一嘉により発表された[2]。
4月22日、第1回「熱中症予防対策に資する効果的な情報発信に関する検討会」が開催され[5]、具体的にどのように運用するかが討議され[6]、おおむね了承された[7]。5月27日、第2回会合が行われた[8]。2020年7月1日からは関東甲信で先行して発表が行われ、2021年4月28日から全国発表となった[7]。2020年8月7日に東京都、千葉県、茨城県に初めて発表された[9]。
2022年11月、環境省は有識者会議の中で、極端な高温が予測された場合にさらに強い警戒を促す新たな情報を発表する案を示した[10]。
アラート
アラートは、4月第4水曜日から10月第4水曜日までの期間において、WBGTが33°C以上になる地点があると予測された場合に、全国58の府県予報区等の単位で発表される。発表時刻は前日17時と当日5時で、防災行政無線や電子メール、テレビを利用して伝達が行われる[6][7]。室内の温度を下げ、できるだけ外に出ないなど、具体的な行動例を示して、熱中症への警戒が呼びかけられる[6]。東京都でのアラートの発表回数は、1年あたり6回から7回となると予測されている[11]。
発表状況
年度 | 地域 | 日数 | 延べ発表回数 | ||
---|---|---|---|---|---|
発表地域 | 運用地域 | 発表日数 | 運用日数 | ||
2020年[12] | 9 | 9 | 120 | 122 | |
2021年[13] | 53 | 58 | 75 | 183 | 613 |
2022年[14] | 46 | 85 | 889 |
脚注
- ^ “当サイトで提供する暑さ指数(WBGT)について”. 環境省. 2021年7月23日閲覧。
- ^ a b 「高温注意情報」の発表基準を「暑さ指数」に 関東甲信で先行 NHK 2020年3月13日配信、同日閲覧
- ^ a b 環境省と気象庁 熱中症で警報、7月から関東などで試行 日本経済新聞 2020年3月13日配信、同日閲覧
- ^ a b c 環境省と気象庁、熱中症の新警戒情報を創設 新建ハウジングDIGITAL 2020年3月13日配信、同日閲覧
- ^ 令和2年度第1回「熱中症予防対策に資する効果的な情報発信に関する検討会」の開催について 気象庁 2020年4月14日配信、同22日閲覧
- ^ a b c 熱中症対策に「警戒アラート」導入へ 気象庁と環境省が7月から関東甲信で 毎日新聞 2020年4月22日配信、同日閲覧
- ^ a b c 「暑さ指数」33度で警報 熱中症予防で前日夕と朝―環境省、気象庁 時事通信 2020年4月22日配信、同23日閲覧
- ^ 令和2年度第2回「熱中症予防対策に資する効果的な情報発信に関する検討会」の開催について 気象庁 2020年5月19日配信、同日閲覧
- ^ 地球の声を聞こう「猛暑と熱中症」(2014年放送)、ストレッチマン・ゴールド「暑い日に注意」(2020年放送)より。
- ^ “熱中症アラートの強化検討 極端な高温に警戒促す、環境省案”. 共同通信. (2022年11月28日)
- ^ 暑さ指数33度以上で警戒発表 西日本新聞 2020年4月22日配信、同23日閲覧
- ^ “今夏の「熱中症警戒アラート(試行)」の発表状況” (PDF). 気象庁・環境省 (2020年10月19日). 2023年2月2日閲覧。
- ^ “熱中症予防のための新たな情報発信「熱中症警戒アラート」について” (PDF). 環境省・気象庁 (2022年4月28日). 2023年2月2日閲覧。
- ^ “今夏の振り返り” (PDF). 環境省 (2022年11月28日). 2023年2月2日閲覧。