エキドナ
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エキドナ(Ἔχιδνα、Echidna)は、ギリシア神話に登場する怪物である。上半身は美女で下半身は蛇という姿をしており、陶器画ではそれに加えて背中に鳥の翼が生えた姿にも描かれる[2]。「蝮の女」がその名の意味[3]。
概要
[編集]ヘーシオドスの『神統記』ではクリューサーオールとオーケアニデスのカリロエーの娘で、ゲーリュオーンと兄弟とされるが[4]、出自については様々な異説がある(ガイアとタルタロス[5]、ペイラースとステュクス[6]、またはポルキュースとケートーの間に生まれたという説がある[7])[注 1]。また、テューポーンの妻でケルベロスやヒュドラーなど多くの怪物達の母でもある。息子のオルトロスと交わり、ネメアーの獅子、スピンクスを産んだとされる。『神統記』では不死のニュンペーとされているが[9]、ペロポネーソスで家畜を襲っていた際に、百眼の巨人アルゴスに殺害されたという説もある[5]。
エキドナの子供達
[編集]- テューポーンとの間に生まれた子
系図
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脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ Ogden 2013b, p. 13.
- ^ カール・ケレーニイ『ギリシアの神話 神々の時代』植田兼義訳、中公文庫1985年、53頁。
- ^ 呉茂一『ギリシア神話』新潮社、1994年、34頁。
- ^ ヘーシオドス、287行-297行。
- ^ a b アポロドーロス、2巻1・2。
- ^ エピメニデース断片(パウサニアース、8巻18・2による引用)。
- ^ マイケル・グラント、ジョン・ヘイゼル『ギリシア・ローマ神話事典』大修館書店1988年、145頁。
- ^ 『ヘシオドス 全作品』110頁。
- ^ ヘーシオドス、305行。
- ^ ヒュギーヌス、31話。
- ^ 高津春繁『ギリシャ・ローマ神話辞典』岩波書店、1960年、224頁。全国書誌番号:60006167。
参考文献
[編集]- アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
- パウサニアス『ギリシア記』飯尾都人訳、龍溪書舎(1991年)
- ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』松田治・青山照男訳、講談社学術文庫(2005年)
- ヘシオドス『神統記』廣川洋一訳、岩波文庫(1984年)
- 『ヘシオドス 全作品』中務哲郎訳、京都大学学術出版会(2013年)
- Ogden, Daniel (2013b), Dragons, Serpents, and Slayers in the Classical and early Christian Worlds: A sourcebook, Oxford University Press. ISBN 978-0-19-992509-4.