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ヘキサン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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ヘキサン
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識別情報
CAS登録番号 110-54-3
RTECS番号 MN9275000
特性
化学式 C6H14
モル質量 86.18 g/mol
示性式 CH3(CH2)4CH3
外観 無色透明な液体
密度 0.6548 g/ml, 液体
融点

−95 ℃ (178 K)

沸点

69 ℃ (342 K)

への溶解度 0.0013 g/100 mL (20 °℃)
粘度 0.294 cP at 25 ℃
危険性
安全データシート(外部リンク) ICSC 0279
EU分類 強い可燃性 F Irritant Xn環境への危険性 N
NFPA 704
3
1
0
Rフレーズ R11 R38 R48/20 R62 R65 R67 R51/53
Sフレーズ S2 S9 S16 S29 S33 S36/37 S61 S62
引火点 −23.3 ℃
発火点 233.9 ℃
関連する物質
関連するアルカン ペンタン
ヘプタン
関連物質 シクロヘキサン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ヘキサン (hexane) は、有機溶媒の一種で、直鎖状アルカンである。常温では無色透明で、灯油のような臭いがする液体。水溶性は非常に低い(20℃で13 mg/L)。ガソリンに多く含まれ、ベンジンの主成分である。

構造異性体の枝分かれアルカンとして、2-メチルペンタン3-メチルペンタン2,2-ジメチルブタン、および 2,3-ジメチルブタンの4つが知られ、イソヘキサンと総称される(2-メチルペンタンのみを指す場合もある)。それらの異性体と区別するため、ヘキサンは特にノルマルヘキサン (n-hexane) と呼ばれることもある。また、これらの異性体を含めた炭素6個のアルカン群の呼称として、ヘキサン (hexanes:複数形) という言葉を使うこともある。

600〜700℃で熱分解を起こし、水素メタンエチレンなどを生ずる。

用途

極性の低い溶媒として、油脂の洗浄・抽出をはじめ様々な用途に用いられる。大豆脱脂加工法の一つである溶媒抽出法は、大豆を破砕した後にヘキサンを溶剤として使い油脂(大豆油)を抽出するものである。ヘキサンには毒性があるものの、沸点が69度前後と低いため加熱すれば容易に除去できる。大豆油製造を行なった際の副生産物(油粕)である脱脂加工大豆は醤油醸造飼料などに利用される。こうした点で、ヘキサンは食品添加物として扱うことができるが、加工過程で完全除去される加工助剤であり表示されることはない[1]

一般用途では、ホームセンターなどで「ブレーキクリーナー」「パーツクリーナー」という名称でイソヘキサンを主成分とするスプレーが販売されている。これらの商品はイソヘキサンの溶剤としての効力を高圧ガスの噴射力でさらに高めており、油脂や金属粉による汚れを効果的に除去できる。自動車整備用途だけではなく、機器や部材のグリスや油脂汚れの除去にも応用されるが、プラスチックゴムを侵す作用がある。

安全性

ヘキサンは、引火点が−22℃の引火性液体である。空気中の爆発限界濃度は1.1~7.5vol%であるので、使用する際は十分な換気が必要である。日本では、消防法により危険物第四類(第一石油類 危険等級II 非水溶性)に指定されている。

慢性毒性として、アルカンの中でヘキサン(ノルマルヘキサン)は特異的に毒性を有する。代謝系でヘキサンが酸化され2,5-ヘキサンジオンが生成し、これが末梢神経を侵すために歩行困難などの多発性神経症が発症する。急性毒性としては500ppm以上の濃度のヘキサンに曝露することで頭痛や軽度の麻酔作用が現れることがある。

出典

  1. ^ 横山勉「脱脂大豆は“ダイズカス”に非ず」 香雪社(2013年5月27日)2017年12月5日閲覧

関連項目

C5:
ペンタン
直鎖アルカン C7:
ヘプタン