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父島

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父島
父島の空中写真。
2014年2月24撮影の50枚を合成作成。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成
所在地 日本の旗 日本東京都小笠原村
所在海域 太平洋
座標 北緯27度4分40秒 東経142度13分00秒 / 北緯27.07778度 東経142.21667度 / 27.07778; 142.21667
面積 23.45 km²
最高標高 326 m
父島の位置(日本内)
父島
父島の位置(オセアニア内)
父島
父島の位置(太平洋内)
父島
     
プロジェクト 地形
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父島(ちちじま)は、東京都小笠原諸島父島列島東京都島嶼部に属する。東京都小笠原村の中心的機能を担う島であり、村役場はこの島に所在する。

概要

硫黄島に次いで、小笠原諸島で2番目に大きな島である。周囲の兄島弟島などの島とともに父島列島を形成する。一度も大陸と陸続きになったことがない海洋島で、多くの固有種が存在する。島全体が小笠原国立公園に指定されている。集落は島の北西部の大村地区が中心。島の西側に西に開けた二見湾があり、湾の北部に二見港がある。

1920年代から大日本帝国陸軍によって砲台などの軍施設が建設され、太平洋戦争の頃には更に増強が進んで父島要塞となった。飯盛山近くの洲崎地区には大日本帝国海軍の飛行場が建設された[1]。 現在でも夜明山や衝立山などには、日本軍施設・塹壕・砲台の跡、高射砲などの残骸が残っている。また、海上自衛隊父島基地宇宙航空研究開発機構 (JAXA) の小笠原追跡基地、国立天文台VERA観測局などが島内に設置されている。

戦後はアメリカの支配下に置かれたが、1968年に返還。小笠原諸島振興開発特別措置法により10年間で約300億円規模の公共事業などが実施された。復興に当たり水や電気の配給を効率的にするため、一島一集落にまとめるよう住民の移転が行われたが、父島は面積が広く農家が通勤を強いられるようになるため一島二集落として整備が行われた[2]。 ある程度の大きさの旅客機が離着陸できる飛行場の建設は長年の悲願であり、2022年現在、東京都が洲崎地区で建設に向けた調査を行っている[3]

気候

沖縄と同じく温帯熱帯の境界域に近いが、沖縄と異なり梅雨の時期がないため年間降水量は沖縄より格段に少ない。このため、沖縄本島(北緯26度00分 - 27度00分)が熱帯雨林気候に近い亜熱帯気候気候区分上は温暖湿潤気候)なのと異なり、父島の気候は熱帯モンスーン気候に分類される。

小笠原村父島字西町(父島気象観測所、標高3m)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F 26.1
(79)
25.4
(77.7)
26.7
(80.1)
28.4
(83.1)
30.1
(86.2)
33.0
(91.4)
34.1
(93.4)
33.7
(92.7)
33.1
(91.6)
32.1
(89.8)
30.2
(86.4)
27.5
(81.5)
34.1
(93.4)
平均最高気温 °C°F 20.7
(69.3)
20.5
(68.9)
21.7
(71.1)
23.4
(74.1)
25.6
(78.1)
28.5
(83.3)
30.4
(86.7)
30.3
(86.5)
29.9
(85.8)
28.6
(83.5)
25.9
(78.6)
22.7
(72.9)
25.7
(78.3)
日平均気温 °C°F 18.5
(65.3)
18.1
(64.6)
19.3
(66.7)
21.1
(70)
23.4
(74.1)
26.2
(79.2)
27.7
(81.9)
28.0
(82.4)
27.7
(81.9)
26.4
(79.5)
23.8
(74.8)
20.6
(69.1)
23.4
(74.1)
平均最低気温 °C°F 15.8
(60.4)
15.4
(59.7)
16.8
(62.2)
18.8
(65.8)
21.4
(70.5)
24.4
(75.9)
25.6
(78.1)
26.1
(79)
25.7
(78.3)
24.4
(75.9)
21.6
(70.9)
18.2
(64.8)
21.2
(70.2)
最低気温記録 °C°F 8.9
(48)
7.8
(46)
9.2
(48.6)
10.7
(51.3)
13.9
(57)
17.7
(63.9)
20.8
(69.4)
22.2
(72)
19.6
(67.3)
17.2
(63)
13.2
(55.8)
10.8
(51.4)
7.8
(46)
降水量 mm (inch) 63.6
(2.504)
51.6
(2.031)
75.8
(2.984)
113.3
(4.461)
151.9
(5.98)
111.8
(4.402)
79.5
(3.13)
123.3
(4.854)
144.2
(5.677)
141.7
(5.579)
136.1
(5.358)
103.3
(4.067)
1,296.1
(51.028)
平均降水日数 (≥0.5 mm) 11.0 8.5 9.8 10.0 11.8 8.8 8.6 11.3 13.4 13.7 12.0 11.2 130.2
湿度 66 68 72 79 84 86 82 82 82 81 76 70 78
平均月間日照時間 131.3 138.3 159.2 148.3 151.8 205.6 246.8 213.7 197.7 173.2 139.1 125.3 2,030.6
出典:気象庁 (平均値:1991年-2020年、極値:1968年-現在)[5][6]


歴史

設置機関

交通

2022年9月現在、本土との定期的な交通手段は竹芝埠頭と父島の二見港を結ぶ航路が唯一で、約24時間かかり[1]、かつ、おおむね6日に1便のみの運航である[10]。1990年-2000年代初頭に、高速船を建造して本土と小笠原諸島との移動時間を短縮する「超高速貨客船テクノスーパーライナー (TSL)」計画が旧運輸省を中心に企画され[1]、実際に115億円かけて高速フェリーが建造されたが、原油価格の高騰によって採算性が失われ、計画は放棄された[1]。建造された高速フェリーは就役することなく解体された[1]

現状では本土との往来に約10日を要し、緊急時の対応に支障があるため、東京都と小笠原村は2008年に「小笠原航空路協議会」を設置し、島内に空港を建設し航空路を開設するための調査・検討を行っている[10]。空港の位置についてはさまざまな案が上がり、父島の北に隣接する兄島、島内南部の時雨山、父島から北に70 kmの聟島などが検討されたが、いずれも自然環境への影響が大きいとして撤回され、2018年からはかつて大日本帝国海軍飛行場があった洲崎地区に候補が絞られている[10]

島内では自治体バス(コミュニティバス)として、小笠原村営バスが運行されている。

本土 - 父島
  • 東京港(竹芝埠頭) - 二見港
小笠原海運おがさわら丸
父島 - 母島
  • 二見港 - 母島沖港
伊豆諸島開発ははじま丸
島内交通

名産

動植物

外来種の侵入問題

トカゲの一種、グリーンアノールが定着し、昆虫類を大量に捕食している[11]

1990年頃に侵入したニューギニアヤリガタリクウズムシカタツムリなどを捕食し、2000年頃に30種いた陸貝類のうち4割が絶滅した[12]

ギャラリー

脚注

  1. ^ a b c d e 石津祐介 (2018年1月17日). “小笠原空港、いよいよ実現か 航空会社はどこで、どんな飛行機が飛ぶのか”. https://trafficnews.jp/post/79465 2021年11月7日閲覧。 
  2. ^ 「小笠原を南海の楽園に 観光柱に振興計画」『朝日新聞』1978年(昭和53年)4月6日朝刊、13版、21面
  3. ^ 島民悲願の小笠原航空路 道遠く 工法、環境配慮、航空機選定 課題山積”. 産経新聞 (2022年11月25日). 2022年11月25日閲覧。
  4. ^ a b 支庁の案内 > 管内概要”. 東京都小笠原支庁. 2020年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月18日閲覧。
  5. ^ 平年値ダウンロード”. 気象庁. 2021年6月閲覧。
  6. ^ 観測史上1〜10位の値(年間を通じての値)”. 気象庁. 2021年6月閲覧。
  7. ^ 天皇陛下海軍演習御覧の節小笠原及奄美大島へ行幸の件”. アジア歴史資料センター. 2020年8月9日閲覧。
  8. ^ a b “ブッシュ元アメリカ大統領が来島される”. 小笠原村役場. (2002年7月1日). http://www.vill.ogasawara.tokyo.jp/wp-content/uploads/sites/2/files1/no_457.pdf 2017年5月1日閲覧。 
  9. ^ “首相が硫黄島と父島訪問…遺骨収容加速の考え”. 読売新聞 (読売新聞社). (2013年4月14日). オリジナルの2013年4月17日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130417190050/https://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130414-OYT1T00469.htm 2021年11月7日閲覧。 
  10. ^ a b c 小笠原航空路の検討状況について” (pdf). 東京都 (2020年12月22日). 2022年9月18日閲覧。
  11. ^ “脅威増す外来種(3)小笠原や沖縄の生態系乱す”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2018年6月10日). https://www.nikkei.com/article/DGKKZO3154302008062018MY1000/ 2019年4月8日閲覧。 
  12. ^ “脅威増す外来種(4)在来カタツムリ 絶滅の危機”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2018年6月17日). https://www.nikkei.com/article/DGKKZO31815450V10C18A6MY1000/ 2019年4月8日閲覧。 

関連項目

外部リンク