1989 年 31 巻 4 号 p. 1088-1100
ハイドロキシアパタイト (HAP) 移植後の裸出象牙質面に対する上皮性ならびに結合組織性付着の再生過程を組織学的に検討した。
ウィスター系雄性ラット20匹の上顎第1臼歯の近心および口蓋側部に約1×1mm歯槽骨を削除して裂開状骨欠損を形成し, 根面のセメント質を完全に削除して象牙質を裸出させた。同欠損部にHAP (粒子径100~300μm焼成温度900℃) を移植した。対照には同様の歯槽骨欠損を形成し, HAP移植を行わなかった。術後8週まで経時的に光顕ならびに電顕により観察し, 以下の知見を得た。
1. HAP移植群では, 再生付着上皮は術後2週時に裸出象牙質面に形成され, 上皮の下方増殖が対照群に比べて少なかった。2. HAP移植群では, 新生セメント質の形成を伴う結合組織性再付着が2~4週でみられ, 対照群に比べ獲得量が多い傾向にあった。3.超微的に裸出象牙質面に付着するコラーゲン線維束は, HAP周囲の新生線維と連続性を有していた。