日本耳鼻咽喉科学会会報
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睡眠呼吸障害に対する手術治療とnasalCPAP治療の比較,併用治療
服部 親矢西村 忠郎柴田 修宏秋田 泰孝川勝 健司早川 宗規西村 洋一服部 寛一鈴木 賢二八木澤 幹夫
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2000 年 103 巻 12 号 p. 1284-1291

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抄録

睡眠呼吸障害に対する治療法としては手術治療と経鼻的持続陽圧呼吸(nasal continuous positive air pressure: nasal CPAP)治療が知られているが,治療法の選択,併用治療に対する報告はほとんどない.そこで今回我々はこれらにつき検討を行った.
対象は睡眠呼吸障害を認めた50例であり,27例において内視鏡検査を行い閉塞部位診断も併せて施行した.方法は手術治療前と手術治療後に無呼吸低呼吸発作指数(apnea hypopnea index: AHI)の改善が50%来満の症例にnasal CPAPの圧設定を行った.
手術治療は口蓋扁桃摘出術,口蓋垂軟口蓋咽頭形成術が中心であり50例のうち45例に施行した.2例は口蓋扁桃摘出術のみ施行し,3例はレーザーによる口蓋垂軟口蓋形成術を施行し,全例において咽頭レベルでの手術を行った.鼻内手術を加えた症例は18例であった.
手術治療によってAHIの改善を50%以上認めた症例は全体では60.0%であった.また,内視鏡検査での部位診断でAHIの改善を50%以上認めた症例は軟口蓋型では81.8%,口蓋扁桃型では100.0%と良好であり,逆に全周性軟口蓋型では33.3%と不良であった.
閉塞型無呼吸発作の発生機序を(1)筋•神経の緊張低下が優位で閉塞型無呼吸発作が生じるものを1型,(2)解剖的な原因とに優位で閉塞型無呼吸発作が生じるものを2型に分類し,I型は内視鏡分類の全周性軟口蓋型に相当し,2型は内視鏡分類の軟口蓋型,口蓋扁桃型に相当すると考えた.I型にはnasal CPAP治療が有効であり,2型に対しては手術治療が有効であると考察された.しかし,nasal CPAP圧が高くnasal CPAPを装着出来ない症例では手術治療とnasal CPAP治療の併用治療が有効であると考えられた.

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