1992年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)優勝決定戦の第89回ワールドシリーズ(89th World Series)は、10月17日から24日にかけて計6試合が開催された。その結果、トロント・ブルージェイズ(アメリカンリーグ)がアトランタ・ブレーブス(ナショナルリーグ)を4勝2敗で下し、球団創設16年目で初の優勝を果たした。 カナダを本拠地とするブルージェイズの初出場初優勝により、ワールドシリーズが史上初めてアメリカ合衆国以外の国で開催され、コミッショナーズ・トロフィーがアメリカ合衆国外の球団に渡った。オンタリオ州トロントを本拠地とするチームの北米4大プロスポーツリーグ優勝は、1967年にアイスホッケー・NHLでスタンレー・カップ・ファイナルを制したトロント・メープルリーフス以来25年ぶり。カナダの英語圏では今シリーズのテレビ中継をCTVが行い、第6戦では推計視聴者670万人を記録している。これは専用機器による測定が1989年に導入されて以来の歴代最多であり、2002年2月にソルトレーク冬季五輪・男子アイスホッケー決勝中継が870万人を記録するまで9年以上その座にあった。また、ブルージェイズ監督のシト・ガストンはアフリカ系アメリカ人史上初のシリーズ優勝監督となった。シリーズMVPには、全6試合で安打を放ち打率.450・1本塁打・3打点・OPS 1.250という成績を残したブルージェイズのパット・ボーダーズが選出された。