『命売ります』(いのちうります)は、三島由紀夫の長編小説。自殺に失敗した男が「命売ります」という広告を出し、自分の命を捨て売りしてしまおうとする物語。死ぬことを恐れない主人公と、彼を利用しようとする人間たちとの間に繰り広げられるユーモラスな騒動がハードボイルド調の展開で進行する娯楽的な趣の中にも、現代社会における生と死や、次第に変化してゆく主人公の心理の逆説が描かれている。 1968年(昭和43年)、週刊誌『週刊プレイボーイ』5月21日号から10月8日号に全21回連載され、同年12月25日に集英社より単行本刊行された。三島生前の刊行本2種は、いずれも題名から本文に至るまで「売」ではなく「賣」という表記を採用している。文庫版は1998年(平成10年)2月24日にちくま文庫より刊行された。翻訳版は、中国(中題:性命出售)、英国(英題:Life for Sale)で行われている。 島田雅彦の『自由死刑』は、『命売ります』をヒントにして創作された。 なお、『命売ります』は三島没後45年の2015年(平成27年)に突如人気が広がり、ちくま文庫が1か月で7万部重版され、この年と翌2016年(平成28年)に ベストセラーとなる現象が起きた。