頭足類における腕(うで、arm)は、口の周りにある器官(付属肢 appendage)である。これは他の動物における足であるが、餌を捕らえたり、雌を抱きかかえたり、物を運ぶ機能を持つため、慣習的に「腕」と呼ぶ。 タコ(八腕形類)やイカ(十腕形類)からなる(鞘形類、二鰓類)では、背側から腹側に向かって左右それぞれ第1腕、第2腕、第3腕、第4腕の4対の腕が口を取り囲むようにあり、更にイカ(十腕形類)では第3腕と第4腕の間から触腕と呼ばれる特殊な腕が伸びる。この2本の触腕の有無および、下記の吸盤の形状により八腕形類と十腕形類が区別される。鞘形類の腕には(きゅうばん、sucker)や鉤(かぎ、hook)がある。雄では一部の腕に生殖のための特殊化が見られ、となる。 オウムガイ類では腕は特に触手(しょくしゅ、cirrus)とも呼ばれ、数十本の短い触手が2列になって口の周囲を取り囲む。オウムガイ類の触手には吸盤がなく、粘着性の分泌物で付着する。