近接信管(きんせつしんかん 英語: Proximity fuze)は、砲弾が目標物に命中しなくとも一定の近傍範囲内に達すれば起爆できる信管をいう。太平洋戦争期間中にアメリカ海軍の艦対空砲弾頭信管に採用され、命中率を飛躍的に向上させる効果が確認されたことにより注目された。目標検知方式は電波式以外に光学式、音響式、磁気検知式が開発され、魚雷等の信管にも応用されている。 最大の長所は目標に直撃しなくてもその近くで爆発することにより、砲弾を炸裂させ目標物に対しダメージを与えることができる点にある。二番目の長所は砲身の摩耗、装薬ロットのバラツキ、気温や気圧、降雨の影響による砲弾の初速や弾道バラツキに影響されないで信管が作動する点にある。時限信管は砲弾側のバラツキに対しては対応できない。三番目の長所は時限の設定作業が不要になる事で発射速度の向上に寄与した。これは従来の攻撃機よりも高速、短時間で接近するカミカゼ特攻機に有効であった。 現在の正式な呼称は "Proximity fuze"。太平洋戦争当時のアメリカ軍の情報秘匿通称から取って「VT信管」(Variable-Time fuze) とも呼ばれることがある。略意については、(兵器局VセクションのT計画で開発された信管)との説もある。またこの信管を「マジック・ヒューズ」と呼称していたこともある。