『音楽』(おんがく)は、三島由紀夫の長編小説。精神分析医の「私」が、不感症に悩む或る女性患者の治療を通して、彼女の深層心理の謎を探っていく物語。サスペンス風の娯楽的な趣の中、精神分析という学問・世界観に対する疑問を呈しながら理論だけでは割り切れない「人間性の謎」や「人間精神の不条理さ」、「性の諸相」を描き出そうとした作品である。 1964年(昭和39年)、雑誌『婦人公論』1月号から12月号に連載され、翌年1965年(昭和40年)2月20日に中央公論社より単行本刊行された。文庫版は新潮文庫で刊行されている。翻訳版はイタリア(伊題:Musica)、スペイン(西題:Musica)、中国(中題:音楽)で行われている。1972年(昭和47年)11月11日に黒沢のり子主演で映画化された。