「スコティッシュフォールド」の版間の差分
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The Wifechaser (会話 | 投稿記録) ロングヘアフォールド ― CFFキャットショーから一枚をお届け。 |
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『風変わりな耳』などと形容されるスコティッシュフォールドの折れ曲がりの耳は、[[優性遺伝]]によって受け継がれたうえで発現するもので、その折れ曲がり具合には様々な段階が存在している。<ref group="文献2" name="p119"/> 折れ耳を持って生まれるというわけではなく、生後13日目から23日目に掛けて折れ耳が生じ始める―すなわち耳が畳まれ始める。<ref group="文献4" name="p141">頁.141</ref> このスコティッシュフォールドの折れ耳には、通常の耳を持つ猫には無い実利的な特質がある。それは耳の伝染病を罹患しにくいことである。<ref group="文献5" name="p189">頁.189</ref> |
『風変わりな耳』などと形容されるスコティッシュフォールドの折れ曲がりの耳は、[[優性遺伝]]によって受け継がれたうえで発現するもので、その折れ曲がり具合には様々な段階が存在している。<ref group="文献2" name="p119"/> 折れ耳を持って生まれるというわけではなく、生後13日目から23日目に掛けて折れ耳が生じ始める―すなわち耳が畳まれ始める。<ref group="文献4" name="p141">頁.141</ref> このスコティッシュフォールドの折れ耳には、通常の耳を持つ猫には無い実利的な特質がある。それは耳の伝染病を罹患しにくいことである。<ref group="文献5" name="p189">頁.189</ref> |
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[[File:Scottish Fold P1050446e.jpg|thumb|right|160px|二毛のスコティッシュフォールド]] |
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===被毛=== |
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スコティッシュフォールドには短毛種と長毛種とが存在している。<ref group="文献1" name="p181"/> 長毛種には『ハイランドフォールド』あるいは『ロングヘアフォールド』という異称がある。<ref group="文献2" name="p214"/> |
スコティッシュフォールドには短毛種と長毛種とが存在している。<ref group="文献1" name="p181"/> 長毛種には『ハイランドフォールド』あるいは『ロングヘアフォールド』という異称がある。<ref group="文献2" name="p214"/> |
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[[File:Scottish Fold |
[[File:Scottish Fold Longhair - CFF cat show Heinola 2008-05-03 IMG 7868.JPG|thumb|left|180px|『ロングヘアフォールド』]] |
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その起源となったスージーが長毛の遺伝子の持ち主であったということが明らかとなっており、その血を漏れなく引いているスコティッシュフォールドは、たとえその直近の祖先が短毛の持ち主であっても、スージーから脈々と受け継がれてきた長毛の遺伝子を保有している可能性がある。<ref group="文献2" name="p214"/> それに加えて、その原産国たるイギリスでのこの品種の交配の歴史において、その異種交配の相手となったのは[[ブリティッシュショートヘア]]が多く、そのブリティッシュショートヘアの異種交配の相手は[[ペルシャ (ネコ)|ペルシャ]]であることがしばしばであった。すなわちそうして紛れ込んだ長毛の遺伝子を保有している可能性がまた存在するということである。<ref group="文献4" name="p142">頁.142</ref> |
その起源となったスージーが長毛の遺伝子の持ち主であったということが明らかとなっており、その血を漏れなく引いているスコティッシュフォールドは、たとえその直近の祖先が短毛の持ち主であっても、スージーから脈々と受け継がれてきた長毛の遺伝子を保有している可能性がある。<ref group="文献2" name="p214"/> それに加えて、その原産国たるイギリスでのこの品種の交配の歴史において、その異種交配の相手となったのは[[ブリティッシュショートヘア]]が多く、そのブリティッシュショートヘアの異種交配の相手は[[ペルシャ (ネコ)|ペルシャ]]であることがしばしばであった。すなわちそうして紛れ込んだ長毛の遺伝子を保有している可能性がまた存在するということである。<ref group="文献4" name="p142">頁.142</ref> |
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[[File:Pirorino's house cat of the Scottish Fold, sitting up in a "Buddha Position".jpg|thumb|right|160px|特有の座法とともに佇むスコティッシュフォールド]] |
[[File:Pirorino's house cat of the Scottish Fold, sitting up in a "Buddha Position".jpg|thumb|right|160px|特有の座法とともに佇むスコティッシュフォールド]] |
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===座法=== |
===座法=== |
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スコティッシュフォールドはしばしば『人間のよう』とも『[[プレーリードッグ]]のよう』とも、あるいは『[[ブッダ]]のよう』とも言われる特有の座り方を見せる。これは折れ耳を有するスコティッシュフォールドのほとんどに見ることができるものである。この風変わりな座法とともに辺りをきょろきょろと窺うその姿は、この品種の『可愛らしさ』を物語る数多の特色群の中でも殊に名高い |
スコティッシュフォールドはしばしば『人間のよう』とも『[[プレーリードッグ]]のよう』とも、あるいは『[[ブッダ]]のよう』とも言われる特有の座り方を見せる。これは折れ耳を有するスコティッシュフォールドのほとんどに見ることができるものである。この風変わりな座法とともに辺りをきょろきょろと窺うその姿は、この品種の『可愛らしさ』を物語る数多の特色群の中でも殊に名高いものとなっている。<ref name="tica"/> |
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===気質=== |
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2010年8月27日 (金) 15:19時点における版
スコティッシュ・フォールド(Scottish Fold)は、イギリスにその起源を有する、猫の一品種。スコットランドで発見された突然変異の猫の個体から発生したこの品種は、折れ曲がったその独特の耳を何よりも際立った特徴としている。[文献1 1][文献2 1]
歴史
スコティッシュフォールドのその歴史は、1961年―スコットランドの中部に位置するテイサイドという地域の農家に生まれた一匹の白猫に始まった。[文献2 1][文献2 2] スージーと名付けられていたこの雄猫は、この農場に生まれた他の猫らと違い、その誕生からどれだけの月日が流れても耳が立たないままであった。[文献3 1]
成長したスージーはやがて1963年に至って複数の子をもうけた。そしてそれらの子猫の中にスージーのそれと同様の折れ耳を持つ個体が発見されたのである。[文献3 1]
かくしてこの特有の折れ耳が遺伝するものであるということが確認されるに至り、この『折れ耳猫』の計画的な繁殖の歴史が始まったのであった。[文献3 1]
スージーに同じく雄であったその子猫は、ウィリアム・ロスとメアリー・ロスという夫妻[1]のもとへと引き渡されたうえで、スヌークスと名付けられた。ブリティッシュショートヘアの雌と交配することになったスヌークスは、その雌との間に雄の白猫を出産し、スノーボールと名付けられたその子猫が地元の展覧会へと出陳されるなどした。[文献2 1]
やがてスージーの誕生からちょうど10年目にあたる1971年に、数匹の『スコットランドの折れ耳猫』が、メアリー・ロスの手によって、ニール・トッドという名のアメリカ合衆国の遺伝学者のもとへと移送された。それからというもの、米国の地にあって、ブリティッシュショートヘアとアメリカンショートヘアとを用いた品種改良が続けられた『スコットランドの折れ耳猫』は、1994年に至って『スコティッシュフォールド』という名を受けたうえで、一猫種としての完全な公認を獲得したのであった。[文献2 1]
特色
『折れ曲がり』を意味する英語の『フォールド』という名が説明するように、なによりの特色はやはりその特有の耳―前方に向かい折れ曲がりながら垂れた耳である。[文献1 2][文献2 1] 加えて短めの首や丸い顔、丸みを帯びた小柄な身体も独特のものであるとされている。[文献2 1] 『耳の先に触れることなしに頭上に手を乗せることのできる唯一の猫』でもあり、小さく折り畳まれた耳に大きな眼という特徴から、その外観は『フクロウのよう』などと形容されることがある。[文献4 1]
耳
『風変わりな耳』などと形容されるスコティッシュフォールドの折れ曲がりの耳は、優性遺伝によって受け継がれたうえで発現するもので、その折れ曲がり具合には様々な段階が存在している。[文献2 1] 折れ耳を持って生まれるというわけではなく、生後13日目から23日目に掛けて折れ耳が生じ始める―すなわち耳が畳まれ始める。[文献4 2] このスコティッシュフォールドの折れ耳には、通常の耳を持つ猫には無い実利的な特質がある。それは耳の伝染病を罹患しにくいことである。[文献5 1]
被毛
スコティッシュフォールドには短毛種と長毛種とが存在している。[文献1 1] 長毛種には『ハイランドフォールド』あるいは『ロングヘアフォールド』という異称がある。[文献2 2]
その起源となったスージーが長毛の遺伝子の持ち主であったということが明らかとなっており、その血を漏れなく引いているスコティッシュフォールドは、たとえその直近の祖先が短毛の持ち主であっても、スージーから脈々と受け継がれてきた長毛の遺伝子を保有している可能性がある。[文献2 2] それに加えて、その原産国たるイギリスでのこの品種の交配の歴史において、その異種交配の相手となったのはブリティッシュショートヘアが多く、そのブリティッシュショートヘアの異種交配の相手はペルシャであることがしばしばであった。すなわちそうして紛れ込んだ長毛の遺伝子を保有している可能性がまた存在するということである。[文献4 3]
その毛色にはあらゆるものがある。[文献2 1] ビロードのごとく柔らかな手触りにして厚みを有し[1]、一般的には首の周りのそれが少しばかり長めとなっている。[文献1 1] 長毛種ならではの特色なるものは、そのより分厚い手触りの被毛の他には特に存在しないものの、長毛の遺伝子は短毛のそれに対して劣性であるため、短毛種に比せば『出会えれば幸運』と言われるほどに希少ではある。[文献4 3]
頭部
かなりの丸みを帯びた輪郭で、ふっくらとした頬を持つ。雄の個体の頬は特に肉付きが良いことから、垂れているようにすら見える。鼻は幅広く、横から見ると緩やかな曲線を描いているのがわかる。[文献1 1] 見開いたような大きな眼を持ち[文献3 1]、その色は毛色に準ずる。[文献1 2] あらゆる目色が存在し得るものの、最もありふれたものというならばそれは銅色である。[2]
障害
スコティッシュフォールドは骨格に特有の障害を持つことがある。関節の異常を特徴とするこの障害は、折れ耳を有する個体同士の交配によって生まれた―すなわち折れ耳を生じさせる遺伝子同士の同型接合をもって生まれた個体に起こるもので、生後4ヶ月目から6ヶ月目に掛けて発現する。太く短い尻尾がその徴候である。[文献2 2][文献2 1] いわゆる奇形であり[文献3 1]、交配の観点からすれば、健康なスコティッシュフォールドを生むためには、真っ直ぐな耳を持った猫が不可欠になってくる。[文献2 1] この障害は、その原産国たるイギリスにおいて、一猫種としての認定を長年にわたって妨げてきた。[文献2 1]
座法
スコティッシュフォールドはしばしば『人間のよう』とも『プレーリードッグのよう』とも、あるいは『ブッダのよう』とも言われる特有の座り方を見せる。これは折れ耳を有するスコティッシュフォールドのほとんどに見ることができるものである。この風変わりな座法とともに辺りをきょろきょろと窺うその姿は、この品種の『可愛らしさ』を物語る数多の特色群の中でも殊に名高いものとなっている。[2]
気質
のんびりとしている。[文献4 2] 穏やかな性格で、感情を表に出さない。[文献2 1] 見知らぬ人間に甘えてゆくほどに人懐っこく、人間と一緒にいるのが大好きで、とても遊び好きである。[文献1 1]
人気
スコティッシュフォールドは愛玩用の人気の高い品種である。[1] アニコム損害保険が日本で2009年に行った飼い猫についての調査は、最も人気の高い猫の品種がスコティッシュフォールドであるという結果を示している。[3]
出典
ウェブ
文献
- 『世界の猫カタログ』 1998年8月25日 ISBN 440510641X ― P.180-181 『スコティッシュフォールド』 ― 『短毛種』
- 『新猫種大図鑑』 第1版第2刷 2006年5月20日 ブルース・フォーグル ISBN 4938396661
- 『SINRA』 1999年6月号 ― 頁.40-64:『ワイド特集 猫の大研究』
- 『世界のネコたち』 2000年9月1日 グロリア・スティーブンス ISBN 463559615X ― 『ネコたちのプロフィール』 ― 頁.140-141:『スコティッシュ・フォールド』/頁.142-143:『スコティッシュ・フォールド・ロングヘア』
- 『猫のすべてがわかる本』 1998年11月 スージー・ペイジ ISBN 458416231X ― 『品種ガイド』 ― 頁.188-189:『スコティッシュ・フォールド』
- ^ 頁.189