アケメネス
アケメネス(Achaemenes、古代ギリシア語: Ἀχαιμένης アカイメネース、古代ペルシア語: 𐏃𐎧𐎠𐎶𐎴𐎡𐏁 Haxāmaniš ハカーマニシュ)は、アケメネス朝の王家の氏族の始祖とされる、半ば伝説中の人物。その事績は伝わっていない。
なお、クセルクセス1世の兄弟(または息子)とされる同名の人物で、エジプトのサトラップがいる。
名称
[編集]古代ペルシア語での名前は「ハカーマニシュ」で、通常は「*haxā-」(友、アヴェスター語 haxay-)と「manah-」(心)からなり、「友人の心を持つ」という意味だと伝統的には理解されているが、異論もある[1]。「アケメネス」はギリシア語形をラテン語化した形にもとづく。
人物
[編集]ヘロドトスの『歴史』7.11 でクセルクセス1世の家系について述べる箇所では、混乱が見られるものの、やはりアケメネスをテイスペスの父としている。
しかし、キュロス・シリンダーではキュロス2世は自らをテイスペスの子孫と述べているにもかかわらず、アケメネスについては何も記していない。このため、ベヒストゥン碑文に記す系図は、出自の怪しいダレイオス1世による捏造の疑いがある[2]。
一般に、アケメネス家の人(Haxāmanišiya)を自称するようになったのはダレイオス1世からである。唯一、パサルガダエのキュロス2世の古代ペルシア語碑文には、自分がアケメネス家の人であることを述べているが、この碑文はキュロス2世ではなくダレイオス1世の時代に作られた可能性が高い[3]。
アケメネスが実際にテイスペスの父であったとしても、彼が何をしたかはまったく不明である。
伝説
[編集]伝プラトン『アルキビアデスI』では、アケメネスをペルセウスの子孫としている[4]。
アイリアノス『動物の特性について』12.21 では、アケメネスが鷲に育てられたという伝説を伝える[5]。
脚注
[編集]- ^ Dandamayev (2011)
- ^ “Achaemenids (Achaemenians)”. Encyclopedia of the Peoples of Africa and the Middle East. Infobase Publising. (2009). p. 2. ISBN 143812676X
- ^ Skærvø (2005) p.14
- ^ Plato, Alcibiades, translated by Sanderson Beck, Wisdom of Greece, the Middle East, and Rome 2015年7月25日閲覧。
- ^ Aelian A.F. Scholfield訳 (1959). On the Characteristics of Animals. III. Harvard University Press. p. 41
参考文献
[編集]- Muhammad A. Dandamayev (2011). “Achaemenes”. イラン百科事典. I, Fasc. 4. p. 414
- Skjærvø, Prods Oktor (2005). An Introduction to Old Persian (2nd ed.). Cambridge: Harvard