アゲハチョウ属
アゲハチョウ属 | |||||||||||||||||||||||||||
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ナミアゲハの成虫
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Papilio Linnaeus, 1758 | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
アゲハチョウ属 | |||||||||||||||||||||||||||
種 | |||||||||||||||||||||||||||
本文参照 |
アゲハチョウ属(アゲハチョウぞく、Papilio)は、アゲハチョウ族を分類する属の1つである。全世界に200種以上の種が生息し、日本には11種が生息する。属名の Papilio とはラテン語で「チョウ」のことで、カール・フォン・リンネが1758年に初めて動物の学名を発表した際に、すべてのチョウの属名として採用したものである。
特徴
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全世界の熱帯から温帯にかけて分布し、島嶼部にも勢力を広げている。日本に生息していないオーストラリア産のオオルリアゲハや北アメリカ産のイースタン・タイガー・スワローテイルなど、世界各地に特徴的な種が生息している。英名Swallowtailが表すように、ナミアゲハやキアゲハなど後翅に尾状突起をもつ種が知られるが、ナガサキアゲハやオナシアゲハのように突起のない種も多く、その有無は必ずしも属の特徴とはならない。
熱帯では成虫が通年発生するが、温帯では冬季に発生が止まることが多い。日本では「春型」「夏型」の差異が知られ、夏型の方が大型で、色彩が濃く、文様が明瞭になる傾向にある。
幼虫の食草はミカン科やセリ科などが多く、その刺激成分を集積して、頭頂の臭角から発して天敵を撃退する。二齢幼虫から四齢幼虫にかけては、鳥の糞そっくりの姿をしているものや派手な斑模様をしているものがあり、終齢幼虫はヘビに似た姿に変わるものが知られている。
蛹を経て成虫へと羽化する。日本では発生が止まる冬の休眠期を蛹で過ごす。
成虫は食草に近いところで生息し、盛んにさまざまな花の蜜を吸い、水たまりでは羽ばたきながら吸水する行動がみられる。
日本ではなじみ深いチョウとして親しまれる一方、生息種の多くが農産物であるミカン科・セリ科を食草とするため、農業従事者にとっては害虫として扱われる(例えば、ナミアゲハはウンシュウミカンやサンショウ、シロオビアゲハはシークヮーサー、キアゲハはニンジンやパセリ)。カラスアゲハやクロアゲハは栽培種を好まず、野生種を好む。
日本で生息する種
[編集]- ナミアゲハ Papilio (Sinoprinceps) xuthus Linnaeus, 1767 (Chinese yellow swallowtail)
- キアゲハ Papilio (Papilio) machaon Linnaeus, 1758 (Common yellow swallowtail)
- ナガサキアゲハ Papilio (Menelaides) memnon Linnaeus, 1758 (Great Mormon)
- モンキアゲハ Papilio (Menelaides) helenus Linnaeus, 1758 (Red Helen)
- シロオビアゲハ Papilio (Menelaides) polytes Linnaeus, 1758 (Common Mormon)
- クロアゲハ Papilio (Menelaides) protenor Cramer, 1775 (Spangle)
- 前翅長4.5 - 7cm、4 - 8月に2 - 4回発生し、幼虫の食草はミカン科植物。本州以南に亜種P. p. demetrius Stoll, [1782]が生息し、海外ではパキスタンから朝鮮半島に至るユーラシア大陸南東~東部、台湾に分布する。短いものの尾状突起があり、日本産亜種の特徴となっている。文字通り黒い蝶だが、後翅には赤い斑が入り、さらにオスは後翅前縁に白帯が入る。
- オナガアゲハ Papilio (Menelaides) macilentus Janson, 1877 (著名な英名なし)
- カラスアゲハ Papilio (Achillides) bianor Cramer, 1777 (Chinese peacock)
- オキナワカラスアゲハ Papilio (Achillides) okinawensis Fruhstorfer, 1898 (著名な英名なし)
- 前翅長4.5 - 8cm、3 - 10月に4回発生し、幼虫の食草はミカン科植物。奄美群島と沖縄諸島のみに生息する。長らくカラスアゲハの奄美・沖縄産亜種とみなされていた。カラスアゲハとの種間雑種を発生することはできるが、生殖能力はなく、DNA分析でも両者を別種とみなす結果が出た。
- ヤエヤマカラスアゲハ Papilio (Achillides) junia Jordan, 1909 (著名な英名なし)
- 前翅長4.5 - 8cm、通年発生し、幼虫の食草はミカン科植物。八重山諸島に生息する。やはりカラスアゲハの八重山産亜種とみなされてきた。最近は、カラスアゲハがP. dehaaniとP. bianorの2種に分けられ、本種は後者の亜種、(本土産は前者)とする見解が主流である。
- ミヤマカラスアゲハ Papilio (Achillides) maackii Ménétries, 1859 (著名な英名なし)
- 前翅長4 - 7.5cm、4 - 9月に2 - 3回発生し、幼虫の食草はミカン科植物。北海道から大隅諸島までの日本本土全域に生息し、海外では中央アジアから朝鮮半島にかけてのユーラシア大陸中東部に分布する。あまり開けた土地に出てくることはないが、名前の印象ほど山奥に生息するわけでもない。吸水する際には、オスだけが集団を形成し、メスは単独で行うという特殊な行動が見られる。
参考文献
[編集]- 日本産蝶類標準図鑑 白水隆 [要文献特定詳細情報]