モラーヌ・ソルニエ AI
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モラーヌ・ソルニエ AI(Morane-Saulnier AI)[2]は、第一次世界大戦当時にフランスのモラーヌ・ソルニエによって生産されたパラソル翼の戦闘機。練習機型が日本にも輸出された。
開発と設計
[編集]AIは時代遅れとなったモラーヌ・ソルニエ Nの後継機として開発された。エンジンは前方が開いた円形のカウリングで覆われていた。パラソル式の主翼には後退角がつけられていた。胴体の円形断面の部分の縦通材と肋材は木製、後部は羽布張りで、張線で補強されていた。生産型は、機関銃1挺装備のタイプがMoS 27、2挺装備のものがMoS 29と呼ばれた。[1][3]
運用歴
[編集]AIを装備する数個の飛行小隊が編成されたが、1918年5月中旬までにそのほとんどがSPAD XIIIに機種変更した[4]。AIは高等練習機となりMoS 30という呼称が与えられた[3]。
アメリカのヨーロッパ派遣軍は51機のMoS 30を戦闘練習機として購入した。
1922年(大正11年)、日本陸軍がMoS 30を5機輸入した。一部は民間に払い下げられ、美保松原根岸飛行場所属の1機は曲技機として有名になった[5]。
派生型
[編集]- MoS 27(戦闘機)
- 7.7 mmビッカース機銃1挺、グノーム・モノスーパープ 9NIロータリーエンジン装備。
- MoS 29(戦闘機)
- 7.7 mmビッカース機銃2挺、グノーム・モノスーパープ9NIロータリーエンジン装備。
- MoS 30(高等練習機)
- 120 馬力のル・ローヌ9Jbまたは135 馬力のル・ローヌ9Jbyロータリーエンジン装備。
- MoS 30bis
- MoS 30のル・ローヌ9Jbyエンジンの出力を90馬力に低下させたタイプ。
運用者
[編集]現存機
[編集]フランスのラ・フェルテ・アライ(La Ferté-Alais)のジャン・サリーが飛行可能状態のAIを3機保有している。[1]
性能諸元(MoS 27)
[編集]出典: Holmes, 2005. p 36
諸元
- 乗員: 1
- 全長: 5.65 m
- 全高: 2.40 m
- 翼幅: 8.51 m
- 空虚重量: 414 kg
- 運用時重量: 674 kg
- 動力: グノーム・モノスーパープ 9Nb 、112 kW (150 hp) × 1
性能
- 最大速度: 221 km/h
- 航続距離: 1時間45分
- 実用上昇限度: 7,000 m
武装
- 固定武装: ビッカース7.7 mm(0.303インチ)機銃1挺または2挺(コックピット前)
脚注
[編集]- ^ a b c Donald, 1997. p 659.
- ^ 日本航空機辞典には「A1」とあるがおそらく「AI」の誤りと思われる。
- ^ a b Lamberton, 1960. p 84.
- ^ Holmes, 2005. p 36.
- ^ 日本航空機辞典(上巻)p 37.
参考文献
[編集]- Donald, David The Encyclopedia of World Aircraft, Prospero Books, 1997年, ISBN 1-85605-375-X
- Holmes, Tony Jane's Vintage Aircraft Recognition Guide, Harper Collins, 2005年, London, ISBN 0 0071 9292 4
- Lamberton, W.M. Fighter Aircraft of the 1914-1918 War, Harleyford Publications Ltd., 1960年, Herts
- 『日本航空機辞典』(上巻)、モデルアート社、1989年