リンクス歩兵戦闘車
リンクス | |
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KF41リンクス歩兵戦闘車 | |
種類 | 装軌式装甲戦闘車両 |
原開発国 | ドイツ連邦共和国 |
開発史 | |
開発者 | ラインメタル |
開発期間 | 2015年 - |
製造業者 | ラインメタル |
諸元 | |
重量 | 34 - 50 t |
全長 | 7.22 - 7.73 m |
全幅 | 3.6 m |
全高 | 3.3 m (IFV型) |
要員数 | 3名 + 6名(KF31)/8名(KF41) |
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主兵装 | 30mm/35mm機関砲(IFV型) |
エンジン | リープヘル社製ターボチャージャー付ディーゼルエンジン |
懸架・駆動 | トーションバー式 |
速度 | 65 - 70km/h |
リンクス(英語: Lynx)は、ドイツ連邦共和国のラインメタルによって開発されている装軌式の歩兵戦闘車/装甲戦闘車両ファミリーの総称である。
2016年のユーロサトリで軽量モデルのKF31が発表され[1]、2018年には大型のKF41が展示された[2][3] 。2022年には、120mm砲搭載の有人砲塔を搭載した軽戦車型のリンクス120が発表された。
概要
[編集]リンクスは、ラインメタルが市場を独自に研究し、既存の車種のギャップを埋める存在としてプライベートベンチャー開発を進めた、歩兵戦闘車型を基本とする装軌式装甲戦闘車両ファミリーである。
2016年6月のユーロサトリで、軽量モデルのKF31歩兵戦闘車が公表され、2018年のユーロサトリではKF41の歩兵戦闘車型と指揮車両型が展示された[4][3]。
2020年5月の発表で、リンクスがオーストラリア、チェコおよびアメリカ合衆国に対して提案されていることが発表された。2022年3月時点で、これらの提案は継続中とのことである。2020年9月に、ハンガリーがリンクスを最初に導入することが公表された[5]。
2021年10月には戦闘支援型のリンクスCSV(英語: Lynx Combat Support Vehicle)が発表された。リンクスCSVはオーストラリア陸軍の開発配備計画『Land 400 フェイズ3』に基づいて提案された支援・兵站・修理・回収といった任務に適合する車両であり、オーストラリア陸軍はこのタイプの車両を約100両導入予定とされている[6]。
2022年2月に発表されたリンクス120は、KF41の車体に120mm砲搭載の有人砲塔を搭載した火力支援型で、ラインメタルはこの車両を"軽戦車"と表現している[6]。
設計
[編集]リンクスの車体の基本設計は従来の装軌式歩兵戦闘車を踏襲しており、車体前方右側にリープヘル製ターボチャージャー付ディーゼルエンジンを搭載し、前方左側には操縦席が位置する。車体後方の兵員室はモジュール化されており、歩兵戦闘車型、装甲兵員輸送車型、指揮車両型、支援車両型といったバリエーションへの対応が容易である[7]。
走行装置は信頼性の高いトーションバー式で、変速機はプーマ装甲歩兵戦闘車、操縦席はコディアック装甲工兵車、NBCシステムはボクサー装輪装甲車、履帯はPzH2000自走榴弾砲とそれぞれ共通化されており、信頼性・保守性を高めつつコストダウンを実現している[8]。
装甲については詳細非公表の部分もあるが、対戦車兵器・榴弾砲の破片・重機関銃弾などからの防護が提供されており、戦闘室は飛散防止内張り・二重床などで保護される[9][8]。また、必要に応じてラインメタルが開発しているアクティブ防護システムである、AMAP-ADSの装備も可能とされている[10]。
歩兵戦闘車型の主武装はラインメタル製30mm機関砲または35mm機関砲で、副武装として7.62mm同軸機関銃のほか、必要に応じ対戦車ミサイルや、小型無人航空機発射機なども搭載可能となっている[11][8]。砲塔はリンクスよりも前に開発されていた [12]「LANCE」と呼ばれる独立したモジュールで、リンクスの他にもボクサー装輪装甲車などに搭載したバージョンが存在する[13]。乗員2名が収まる従来の運用に加えて車内側からRWSとして運用することも可能である。MK-30(ハンガリー)、WOTAN(オーストラリア)等の各種中口径機関砲、スパイクLR対戦車ミサイル発射機などをカスタマー要望に応じて選択できるモジュラー設計となっている
型式
[編集]KF31、KF41、いずれのモデルも歩兵戦闘車型に加えて、装甲兵員輸送車、指揮通信車両、砲兵観測車、偵察戦闘車、装甲回収車、装甲修理車、装甲救急車、弾薬輸送車など様々な構成が可能となっている。
また、KF41の車体に120mm砲塔を搭載したリンクス120も提案されている。
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KF31歩兵戦闘車、2017年。
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KF41歩兵戦闘車、オーストラリア陸軍向け提案車両。
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リンクス120
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リンクスCSV
運用国
[編集]- ハンガリー
- 2020年8月に導入を発表[14][15][16][17]。218両のKF41を発注し、最初の車両が2022年10月に納品された[18]。最初の46両はドイツで生産され、これ以降はハンガリーでライセンス生産の予定である[19]。
運用検討国
[編集]- ギリシャ
- 2023年2月10日、ギリシャはドイツと205両のKF41と、123両のレオパルト2A7戦車の調達に合意したと発表した[20]。ただし財政的理由からより安価な中古のM2ブラッドレーやマルダーの調達計画も並行して進められており、リンクスの導入は確定的ではないとの見方もある[21]。
- アメリカ合衆国
- M2/M3ブラッドレーの後継車種選定プログラムに、ラインメタルとレイセオンの合弁事業として参画[22]。
不採用国
[編集]- チェコ
- BMP-2歩兵戦闘車の後継としてKF41が提案された。比較対象はCV 90とASCOD歩兵戦闘車であったが、チェコ国防省はいずれの車両も要求仕様を満たさないとして選定を一時中断した。最終的にスロバキアと同様にCV9030 Mk.IVを選定[25][26]。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b "Rheinmetall Defence – News archive 2015 Rheinmetall's new IFV, the Lynx". www.rheinmetall-defence.com (Press release). 2016年6月15日閲覧。
- ^ “KF31 Lynx Rheinmetall IFV tracked Infantry Fighting Vehicle”. 2018年6月24日閲覧。
- ^ a b “Eurosatory 2018: Rheinmetall unveils Lynx KF41 IFV | IHS Jane's”. www.janes.com. 2018年6月24日閲覧。
- ^ “Rheinmetall at Eurosatory (2018)”. www.forecastinternational.com (2018年6月4日). 2018年6月7日閲覧。
- ^ “NATO member Hungary orders 218 Lynx infantry fighting vehicles from Rheinmetall worth more than €2 billion”. www.rheinmetall.com (2020年9月10日). 2020年9月11日閲覧。
- ^ a b “Janes AFVs March 2022 updates”. www.janes.com (2022年3月9日). 2022年3月30日閲覧。
- ^ “Lynx (Jane's AFVs 2019-2020)”. IHS Jane's. 2020年2月6日閲覧。
- ^ a b c “Lynx (Jan 2018)”. www.janes.com (2017年6月9日). 2018年1月26日閲覧。
- ^ a b c “Rheinmetall Defence – Lynx”. Rheinmetall Defence. 26 January 2018閲覧。
- ^ a b “Lynx Infantry Fighting Vehicle”. Defense Technology Review Magazine (2016年6月14日). 2016年6月14日閲覧。
- ^ a b c “Rheinmetall undiscloses the Lynx Light Armored Infantry Fighting Vehicle at Eurosatory 2016”. www.armyrecognition.com (2016年6月14日). 2016年6月15日閲覧。
- ^ “Defendory 2008: Rheinmetall reveals Lance turret”. researchgate.net/. 2023年3月19日閲覧。
- ^ “オーストラリア陸軍、新しい偵察戦闘車にラインメタル「ボクサーCRV」を採用”. おたくま経済新聞. 2023年3月19日閲覧。
- ^ “Rheinmetall's Lynx Infantry Vehicle Targets Australian Market”. Janes (2020年8月20日). 2020年9月11日閲覧。
- ^ “Hungary's Government and Rheinmetall to Produce Armored Fighting Vehicles in Hungary”. ニューヨーク・タイムズ. 2023年3月13日閲覧。
- ^ “218 harckocsit vesz a Magyar Honvédség” (ハンガリー語). 24.hu (2020年9月9日). 2020年9月9日閲覧。
- ^ “Šéf Rheinmettalu: Pokud někdo chce shodit tendr za 52 miliard na rozsahu hlavní zbraně, je to absurdní” (チェコ語). ekonomickydenik.cz (2020年9月2日). 2020年9月9日閲覧。
- ^ “Hungary receives first serial KF41 Lynx infantry fighting vehicles and Buffalo armoured recovery vehicles”. 2023年3月13日閲覧。
- ^ “Milestone for the Lynx - Rheinmetall launches production of new infantry fighting vehicle in Hungary”. 2023年3月13日閲覧。
- ^ “Greece agrees procurement of 205 KF41 lynx IFVs and 123 upgraded Leopard 2A4 tanks”. armyrecognition.com/. 2023年3月19日閲覧。
- ^ “GRECY BLISKO POZYSKANIA BRADLEYÓW”. konflikty.pl/. 2023年3月19日閲覧。
- ^ “Raytheon, Rheinmetall partner to offer new Lynx fighting vehicle to US Army”. Defense News (2018年10月8日). 2018年10月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月8日閲覧。
- ^ “韓国の歩兵戦闘車が独ラインメタルを破り豪軍に採用! 約6700億円規模の契約”. 乗りものニュース (2023年7月30日). 2024年2月21日閲覧。
- ^ "Schützenpanzerwettbewerb: Slowakisches Verteidigungsministerium entscheidet sich für den CV90 Mk IV" (ドイツ語). 30 May 2022. 2022年7月20日閲覧。
- ^ Waldemar Geiger (20 July 2022). "Tschechien will CV90-Schützenpanzer beschaffen". Europäische Sicherheit und Technik. 2022年7月21日閲覧。
- ^ Martin Smisek und (31 August 2022). "Tschechien und die Slowakei beschaffen und betreiben den CV 90 gemeinsam". Europäische Sicherheit & Technik (esut). ESUT. 2022年10月11日閲覧。
関連項目
[編集]- KF51 パンター - 同時期にラインメタルが開発している主力戦車。