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レムニスケート周率 (レムニスケートしゅうりつ、英 : lemniscate constant )とは、円周率 の、ベルヌーイのレムニスケート における対応物である。レムニスケートを研究する過程で「発見」され、特にカール・フリードリヒ・ガウス が深く研究したとされる。
通常は、ギリシャ文字 のパイの小文字 π の異字体 ϖ (オメガの小文字 (ω) の上に横棒を1本つけたような形)で表され、実際の数値は、
ϖ = 2.622057554292119810464839589891... (オンライン整数列大辞典 の数列 A062539 )
(小数点以下30桁まで)である。なお、長さのパラメータ単位を1としたとき、レムニスケートの周長 は、(円 の周長が、円周率の倍の値であるのと同様に)レムニスケート周率の倍の値となる。
レムニスケート周率は、第一種完全楕円積分 で表され、無理数 でもあり、超越数 でもある。
すなわち、次の式により求めることができる。
ϖ
=
2
∫
0
1
d
r
1
−
r
4
=
2
K
(
1
2
)
=
Γ
(
1
4
)
2
2
3
/
2
π
1
/
2
{\displaystyle \varpi =2\int _{0}^{1}{\frac {dr}{\sqrt {1-r^{4}}}}={\sqrt {2}}K\left({\frac {1}{\sqrt {2}}}\right)={\frac {\Gamma \left({\frac {1}{4}}\right)^{2}}{2^{3/2}\pi ^{1/2}}}}
ただし、ここで r は、レムニスケートの極座標 表示
r
2
=
cos
2
θ
{\displaystyle r^{2}=\cos 2\theta \,}
の r である。
なお、これと対比して、円周率 π は、次の式で求めることができる。
π
=
2
∫
0
1
d
x
1
−
x
2
{\displaystyle \pi =2\int _{0}^{1}{\frac {dx}{\sqrt {1-x^{2}}}}}
また、円周率に関するビエトの式 :
2
π
=
1
2
⋅
1
2
+
1
2
1
2
⋅
1
2
+
1
2
1
2
+
1
2
1
2
⋯
{\displaystyle {\frac {2}{\pi }}={\sqrt {\frac {1}{2}}}\cdot {\sqrt {{\frac {1}{2}}+{\frac {1}{2}}{\sqrt {\frac {1}{2}}}}}\cdot {\sqrt {{\frac {1}{2}}+{\frac {1}{2}}{\sqrt {{\frac {1}{2}}+{\frac {1}{2}}{\sqrt {\frac {1}{2}}}}}}}\cdots }
に倣って、次式のような表現も可能である[ 1] :
2
ϖ
=
1
2
⋅
1
2
+
1
2
/
1
2
⋅
1
2
+
1
2
/
1
2
+
1
2
/
1
2
⋯
{\displaystyle {\frac {2}{\varpi }}={\sqrt {\frac {1}{2}}}\cdot {\sqrt {{\frac {1}{2}}+{\frac {1}{2}}{\bigg /}\!{\sqrt {\frac {1}{2}}}}}\cdot {\sqrt {{\frac {1}{2}}+{\frac {1}{2}}{\Bigg /}\!{\sqrt {{\frac {1}{2}}+{\frac {1}{2}}{\bigg /}\!{\sqrt {\frac {1}{2}}}}}}}\cdots }
^ Levin, Aaron (2006). “A Geometric Interpretation of an Infinite Product for the Lemniscate Constant”. The American Mathematical Monthly 113 (6): 510–520. doi :10.2307/27641976 .