御府内備考
表示
『御府内備考』(ごふないびこう)は江戸幕府が編纂した江戸の地誌である。監修者は三島六郎政行(安永9年(1780年)6月 - 安政3年(1856年)9月)。江戸に関する基本史料になっている。
経緯
[編集]1810年(文化7年)、幕府は『新編武蔵風土記』の編纂を昌平坂学問所に命じた。武蔵国内の町名主や旧家、寺社より書上を提出させたが、御府内のことは除くことに決め、豊島郡以下22郡の地誌の編纂作業を行った(『新編武蔵風土記稿』)。御府内に関して集めた資料は、神谷岩三郎信順に命じてまとめさせた[1]。
1826年(文政9年)に改めて『御府内風土記』を編纂することになり、書院番士の三島六郎政行が主任となった。先に神谷がまとめた資料を参考とし、1829年(文政12年)に完成した。『御府内風土記』は1872年(明治5年)の皇居火災で焼失するが、『風土記』編纂の備考として整理された資料が『御府内備考』として残されている。
内容
[編集]- 正編
145巻。江戸城、武家屋敷、各町の地勢、名所旧跡などを記す。雄山閣の『大日本地誌大系』に所収。
巻 | 内容 |
---|---|
1 | 江戸総説 |
2 | 御城 |
3-8 | 御曲輪内 |
9-12 | 外神田 |
13-20 | 浅草 |
21-24 | 下谷 |
25-26 | 根津 |
27-28 | 谷中 |
29-31 | 湯島 |
32-35 | 本郷 |
36-38 | 駒込 |
39-40 | 巣鴨 |
41-44 | 小石川 |
45-47 | 小日向 |
48-49 | 関口 |
50 | 護国寺領三ケ町 |
51 | 高田 |
52 | 雑司谷 |
53-57 | 牛込 |
58-60 | 市谷 |
61-66 | 四谷 |
67-69 | 赤坂 |
70-72 | 青山 |
73-74 | 渋谷 |
75-81 | 麻布 |
82-83 | 櫻田 |
84-87 | 飯倉 |
88-98 | 芝 |
99-101 | 三田 |
102-104 | 白金 |
105 | 目黒 |
106-107 | 高輪 |
108-110 | 品川 |
111-125 | 深川 |
126-137 | 本所 |
138-140 | 中之郷 |
141-142 | 小梅 |
143 | 柳島 |
144-145 | 亀戸 |
- 続編
147巻。江戸の寺社について記す。
註釈
[編集]関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 御府内備考 第1 NDLJP:1214847/3(大日本地理体系)巻24まで
- 御府内備考 第2 NDLJP:1214857/3
- 御府内備考 第3 NDLJP:1214872/3
- 御府内備考 第4 NDLJP:1214882/4
- 御内府備考 第5 NDLJP:1179190/3巻125まで、巻140
- 底本にした史料編纂掛所蔵本は巻126以降が欠落。戦後に刊行された「御内府備考 第6」は「町方書上」により補ったもの。